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葉風
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はかぜ
灯は
棕櫚の
葉風に
自から消えたと
覚しく……真の暗がりに、もう何んにも見えなかった。
勇ちゃんは、
顔をあげて、いくたびもあちらを
見ました。
少年は、だまって
歩いていましたが、やがて
目の
前に、
林が
望まれました。
葉風が、きらきらとして、
木の
枝は、
風にゆらめいていました。
藏くし
孃さまにも
嘸ぞお
喜び
我身とても
其通りなり
御返事屹度まちますと
云えば
點頭ながら
立出る
廻り
椽のきばの
橘そでに
薫りて
何時か
月に
中垣のほとり
吹のぼる
若竹の
葉風さら/\として
初ほとゝぎす
待べき
夜なりとやを