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萎靡
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いび
ふりがな文庫
“
萎靡
(
いび
)” の例文
環境が自然に発生させているマイナスによってこれまた自然発生的に
害
(
そこな
)
われ、
萎靡
(
いび
)
させられ、未開発のまま消滅してしまう。
獄中への手紙:06 一九三九年(昭和十四年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
暴動はすべて、商店を閉ざし、資本を
萎靡
(
いび
)
させ、相場に恐慌をきたさせ、取り引きを
停
(
と
)
め、事業を遅滞させ、破産を招致する。金融は止まる。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
家族のひとたちの様に味噌汁、お
沢庵
(
たくあん
)
などの現実的なるものを摂取するならば
胃腑
(
いふ
)
も濁って、空想も
萎靡
(
いび
)
するに違いないという思惑からでもあろうか。
ろまん灯籠
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
椿岳の画の豪放
洒脱
(
しゃだつ
)
にして伝統の画法を無視した偶像破壊は明治の初期の沈滞
萎靡
(
いび
)
した画界の珍とする処だが
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
ヘタヘタと誰も彼も降参気分になって
終
(
しま
)
ったのでは其後がいけない、其家の士気というものが
萎靡
(
いび
)
して終う。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
腹と尾に力を入れて
驀
(
まっしぐ
)
らに急進するが一番
迅
(
はや
)
い故、専らその方を用いた結果、短い足が
萎靡
(
いび
)
してますます短くなる代りに、躯が蛇また
蚯蚓
(
みみず
)
のごとく長くなり
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
まず、樊城の城内をうかがえば、すでにそこの敵は外部と断たれてから、士気もふるわず旗色も
萎靡
(
いび
)
して、未だに魏の援軍とは連絡のとれていないことが分る。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いかんとなればもし我が
首級
(
くび
)
、巷なんどに
曝
(
さら
)
されようものなら、宮方に志を寄せる者、
萎靡
(
いび
)
沈滞するであろう、死せる孔明、生ける仲達を走らせた
例
(
ためし
)
も唐土にある。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
もちろん外にも大乗仏教国はあるけれども
萎靡
(
いび
)
振わずしてほとんどその
真面目
(
しんめんもく
)
を失うて居ります。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
(他の時代だったら、彼らはおそらく国家の大人物となっていたろう。)——しかし彼らには信念もなく性格もなかった。享楽の要求と習慣と倦怠とに
萎靡
(
いび
)
しきっていた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
もしさらに一二年を放置せば、心身ともに
萎靡
(
いび
)
し終らんとす。
坐視
(
ざし
)
するに忍びざるものあり。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
その結果は視力の減退、血液循環の停滞、すべての知的能力の全般的
萎靡
(
いび
)
と脱落とである。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
女の器械は何時でも用に立つ。心持に関係せずに用に立つ。男の器械は用立つ時と用立たない時とある。好だと思えば跳躍する。嫌だと思えば
萎靡
(
いび
)
して振わないというのである。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
その結果は今日の如く堕落して
萎靡
(
いび
)
振わず、
其処
(
そこ
)
へ比較的厳粛なる西洋の家庭に人と為った体質、精神共に強健なる小供が南洋を迂回して東洋に来り、これを圧迫したから
堪
(
たま
)
らぬ。
現代の婦人に告ぐ
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
要するに幕府が鎌倉からして京都に移されるとともに、せっかく鎌倉に出来かけた新しい文明の気運はここに
萎靡
(
いび
)
し果てて京都のみがまた旧のごとく文明の唯一中心となるに至った。
東山時代における一縉紳の生活
(新字新仮名)
/
原勝郎
(著)
萎靡
(
いび
)
した工藝の運命は今個人的守護によって、その生命をわずかに保有する。
工芸の道
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
ゆえに知るべし。平民主義の勢力を逞しゅうするゆえんは人民の利益・願欲、これが鼓動者となるがゆえなり。貴族主義の
萎靡
(
いび
)
するゆえんは人民の利益・願欲、これが反対者となるがゆえなり。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
さすがの空想も
萎靡
(
いび
)
して、狭い空間にせぐくまる。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
否々、偽りの光でもって民衆を啓発すべきではない。そういう憲法の
窖
(
あなぐら
)
の中では、主義は
萎靡
(
いび
)
し青ざめてしまう。廃退は禁物である。妥協は不可である。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
世間の普通の人とはちがった日暮しをして来た作家は、男でも、男らしさの感覚から
萎靡
(
いび
)
させられているのね。
獄中への手紙:08 一九四一年(昭和十六年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
パリー人の魂はこの劇の中に反映していた。そしてこの劇は、
追従
(
ついしょう
)
的な画面のように、彼らの
萎靡
(
いび
)
した宿命観、化粧室の
涅槃
(
ねはん
)
境、柔弱な
憂鬱
(
ゆううつ
)
、などの
象
(
すがた
)
を映し出していた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
すなわちそれから約一月——一月の日が経った時、義明を討たれて
萎靡
(
いび
)
沈滞した、木曽の館を御嶽冠者の軍が、ほとんど一揉みに揉みつぶし、木曽の館を占領した時、その願望がとげられたのである。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
とにかく彼がそこにきたことは一つの恩恵であり、彼がそこにいることは天の賜物であった。マドレーヌさんが来る前までは、その地方はすべてが
萎靡
(
いび
)
していた。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
一九三二年以来日本の社会的事情は急激に変化して、プロレタリア文学は退潮を余儀なくされ、その背後の社会的な力は同時にブルジョア文学をも著しく
萎靡
(
いび
)
させた。
ヒューマニズムの諸相
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
社交界の
萎靡
(
いび
)
的影響を受けて、たちまちのうちに精力は鈍くなり、独特な性格は
磨滅
(
まめつ
)
してゆく。クリストフは芸術家らのうちに、多くの死んだ者や死にかけてる者に出会って驚いた。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
パリーはおそらく生長したであろうが、しかし一方フランスは確かに
萎靡
(
いび
)
したのである。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
作家が客観的に全面的に押し出されていないと作品においても
萎靡
(
いび
)
するというのは真実です。今日のような社会の雰囲気の中では、この点が実に実に決定的な意義をもっています。
獄中への手紙:04 一九三七年(昭和十二年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
それは現今の思想を
萎靡
(
いび
)
させ、強者を
虐
(
しいた
)
げ利用している。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
都市を清潔にするつもりで、実は住民を
萎靡
(
いび
)
さしている。下水道は誤った考えである。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
萎
常用漢字
中学
部首:⾋
11画
靡
漢検1級
部首:⾮
19画
“萎靡”で始まる語句
萎靡振
萎靡凋落
萎靡因循
萎靡沈滞
萎靡沈衰
萎靡頽敗