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茶宇
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ちやう
新任の
奉行の
眼が
光るので、
膝元では
綿服しか
着られない
不平を
紛らしに、こんなところへ、
黒羽二重に
茶宇の
袴といふりゆうとした
姿で
在所のものを
威かしに
來たのだと
思はれたが
卷上れば天一坊は
威有て
猛からざる
容體に着座す其出立には
鼠色琥珀の
小袖の上に
顯紋紗の
十徳を着
法眼袴を
穿たり後の方には
黒七子の小袖に同じ羽織
茶宇の
袴を
穿紫縮緬の
服紗にて
小脇差を
羽二重の
小袖羽織に
茶宇の
袴、それはまだ
驚くに
足りないとして、
細身の
大小は、
拵へだけに四
百兩からもかけたのを
帶してゐた。
鐺に
嵌めた
分の
厚い
黄金が
燦然として、
冬の
日に
輝いた。