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胸裏
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きょうり
ふりがな文庫
“
胸裏
(
きょうり
)” の例文
しかもその併立せるものが一見反対の趣味で
相容
(
あいい
)
れぬと云う事実も認め得るかも知れぬ——批評家は反対の趣味も同時に
胸裏
(
きょうり
)
に蓄える必要がある。
作物の批評
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お気に入っても入らなくても、虚勢や
粉飾
(
ふんしょく
)
に事実を曲げて、
聖断
(
せいだん
)
を
晦
(
くら
)
くしたてまつるべきではない——と、これは河内を出るときからの彼のかたい
胸裏
(
きょうり
)
であった。
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
胸裏
(
きょうり
)
の図案は三
分
(
ぶ
)
二で
崩
(
くず
)
れた。見ると、
筒袖
(
つつそで
)
を着た男が、
背
(
せ
)
へ
薪
(
まき
)
を
載
(
の
)
せて、
熊笹
(
くまざさ
)
のなかを観海寺の方へわたってくる。隣りの山からおりて来たのだろう。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
今日は風が吹く。
昨日
(
きのう
)
も風が吹いた。この頃の天候は不穏である。しかし
胸裏
(
きょうり
)
の不穏はこんなものではない
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ただまのあたりに見れば、そこに詩も生き、歌も
湧
(
わ
)
く。着想を紙に落さぬとも
璆鏘
(
きゅうそう
)
の
音
(
おん
)
は
胸裏
(
きょうり
)
に
起
(
おこ
)
る。
丹青
(
たんせい
)
は
画架
(
がか
)
に向って
塗抹
(
とまつ
)
せんでも
五彩
(
ごさい
)
の
絢爛
(
けんらん
)
は
自
(
おのず
)
から
心眼
(
しんがん
)
に映る。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
いかにせば生き延びらるるだろうかとは時々刻々彼らの
胸裏
(
きょうり
)
に起る疑問であった。ひとたびこの
室
(
へや
)
に
入
(
い
)
るものは必ず死ぬ。生きて天日を再び見たものは千人に
一人
(
ひとり
)
しかない。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
もし人情なる
狭
(
せま
)
き立脚地に立って、芸術の定義を下し得るとすれば、芸術は、われら教育ある士人の
胸裏
(
きょうり
)
に
潜
(
ひそ
)
んで、
邪
(
じゃ
)
を
避
(
さ
)
け
正
(
せい
)
に
就
(
つ
)
き、
曲
(
きょく
)
を
斥
(
しりぞ
)
け
直
(
ちょく
)
にくみし、
弱
(
じゃく
)
を
扶
(
たす
)
け
強
(
きょう
)
を
挫
(
くじ
)
かねば
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
幾分か彼我の
胸裏
(
きょうり
)
に呼応する或ものを認める事ができたが、いかんせん、彼らのやっている事は、とうてい今日の開明に伴った筋を演じていないのだからはなはだ気の毒な心持がした。
明治座の所感を虚子君に問れて
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“胸裏”の意味
《名詞》
胸の内。心中。
(出典:Wiktionary)
胸
常用漢字
小6
部首:⾁
10画
裏
常用漢字
小6
部首:⾐
13画
“胸”で始まる語句
胸
胸倉
胸襟
胸算用
胸毛
胸板
胸騒
胸算
胸高
胸乳