肩幅かたはば)” の例文
役員のひとりで、豪放磊落ごうほうらいらくなG博士が肩幅かたはばの広い身体からだをゆすりあげ、設けの席につくと、みんなをずっと見廻みまわしたのち
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
素気無そっけなかおには青筋あおすじあらわれ、ちいさく、はなあかく、肩幅かたはばひろく、せいたかく、手足てあし図抜ずぬけておおきい、そのつかまえられようものなら呼吸こきゅうまりそうな。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
を通ずるまでもなく挨拶あいさつに出たが、固く引きまった日に焼けた顔の色と云い、ショボショボした、人の好さそうなつきと云い、首の小さい、肩幅かたはばの広い体格と云い
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
カーキいろふく戦闘帽せんとうぼうかぶって、あかいたすきをかけた父親ちちおや肩幅かたはばひろ姿勢しせい毅然きぜんとして、まるはたったみんなからおくられて、平常へいぜいは、あまりひととおらないさびしいみち
僕はこれからだ (新字新仮名) / 小川未明(著)
あんなに無粋ぶいき肩幅かたはばのある人とは思わなかった。あんなに角張かくばったあごの所有者とは思わなかった。君の風丰ふうぼうはどこからどこまで四角である。頭まで四角に感じられたから今考えるとおかしい。
長谷川君と余 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)