股引ももひ)” の例文
縦縞の長ばんてんにぎはぎだらけの股引ももひき。竹かごをしょい、手に長いはしを持って、煮しめたような手拭を吉原よしわらかぶり。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
くるまうえから、ちたものは、勘太かんたじいさんの会社かいしゃるときまでにつけていた、半纒はんてん股引ももひきと帽子ぼうしでありました。
なつかしまれた人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
はんてんの短かいすそを、それさえ邪まッけに尻までからげ、今日の日のためににおうような紺の股引ももひきをはいて来た松岡長吉は、つまり棟梁とうりょう次席をもって任じていた。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
股引ももひきが破れまして、ひざから下が露出むきだしでござりますので、見苦しいと、こんなにおっしゃります、へい、御規則も心得ないではござりませんが、つい届きませんもんで、へい
夜行巡査 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
股引ももひきと道化者と先の尖った靴と!
踊る地平線:05 白夜幻想曲 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
くちには、いいながら、おじいさんは、自分じぶんている半纒はんてんや、よごれてつちなどのついている股引ももひきをながら、すぐにかえろうとはいわずにちゅうちょしていました。
なつかしまれた人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
今までどこにひそんでいたのか、しまの着物に股引ももひ腹掛はらがけ、頭髪あたまも変えて、ちょいと前のめりに麻裏あさうらを突っかけて、歩こうかという、すっかり職人姿の舞台いたに付いているこの喬之助である。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
盲縞めくらじまの腹掛け、股引ももひきによごれたる白小倉の背広を着て、ゴムのほつれたる深靴ふかぐつ穿き、鍔広つばびろなる麦稈むぎわら帽子を阿弥陀あみだかぶりて、踏んまたぎたるひざの間に、茶褐色ちゃかっしょくなる渦毛うずげの犬の太くたくましきをれて
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おじいさんは、あたらしい着物きものにきかえて、自分じぶんのいままでにつけていた半纒はんてんや、股引ももひきや、やぶれた帽子ぼうしをひとまとめにして、そばにあった、貨物自動車かもつじどうしゃうえせておきました。
なつかしまれた人 (新字新仮名) / 小川未明(著)