きこえ)” の例文
女文字に至つては当時善書のきこえがあつた。連綿草れんめんさうを交へた仮名の散らし書の消息数通、細字の文稿二三巻も亦良子刀自の許にある。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
さる年、主家に御家騷動があり、公儀のきこえを怖れて、無事に濟みましたが、敵味方の主立つた人達は、それ/″\身を退いて浪人いたしました。
我は未だ汝等の國を過ぎたることなし、されどエウロパ全洲の中苟も人住む處にそのきこえなきことあらんや 一二一—一二三
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
○こゝに何村なにむらといふ所に家内の上下十人あまりの農人のうにんあり、主人あるじは五十歳ばかりつまは四十にたらず、世息せがれ二十はたちあまり娘は十八と十五也。いづれも孝子かうしきこえありけり。
もすべきに御不運にて御早世ごさうせいなりしは返す/″\も殘念ざんねんなりとひと泣悲なきかなしむもことわりとこそきこえけれ扨も八代將軍には或時御側御用おそばごよう取次に御尋おんたづね有やうは先年せんねん勢州せいしう山田奉行を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
又若江修理大夫妹年来学問有志がくもんにこゝろざしあり於今天晴いまにおいてあつぱれ宏才之きこえ有之候間、女御にようご為御稽古参上可然哉否しかるべきやいなや、於左大将殿可宜御沙汰よろしかるべきごさたに付被談由だんぜられしよし
津下四郎左衛門 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
此事碩学せきがくきこえたか了阿れうあ上人のはなしにきゝてかの経を借得かりえよみしが、これぞ夜光の玉のおや玉なるべき。
此事碩学せきがくきこえたか了阿れうあ上人のはなしにきゝてかの経を借得かりえよみしが、これぞ夜光の玉のおや玉なるべき。
先年俗にいふ大和やまとめぐりしたるをり、半月あまり京にあそび、旧友きういうの画家春琴子しゆんきんしつい諸名家しよめいかをたづねし時、鴻儒かうじゆきこえ高きらい先生(名襄、字子成、山陽と号、通称頼徳太郎)へもとむら
先年俗にいふ大和やまとめぐりしたるをり、半月あまり京にあそび、旧友きういうの画家春琴子しゆんきんしつい諸名家しよめいかをたづねし時、鴻儒かうじゆきこえ高きらい先生(名襄、字子成、山陽と号、通称頼徳太郎)へもとむら