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じじい
ふりがな文庫
“
老爺
(
じじい
)” の例文
武男が入り来る足音に、
老爺
(
じじい
)
はおもむろに振りかえりて、それと見るよりいささか驚きたる
体
(
てい
)
にて、
鉢巻
(
はちまき
)
をとり、小腰を
屈
(
かが
)
めながら
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
「鶏を……。誰に
盗
(
や
)
られたろう。又、銀山の鉱夫の
悪戯
(
いたずら
)
かな。」と、若い主人は少しく眉を
顰
(
ひそ
)
めて、
雇人
(
やといにん
)
の七兵衛
老爺
(
じじい
)
を
顧
(
みかえ
)
った。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
到る処に
白首
(
しらくび
)
の店が、押すな押すなで軒を並べて、
弦歌
(
げんか
)
の声、湧くが如しだ。男も女も、
老爺
(
じじい
)
も
若造
(
わかぞう
)
も、手拍子を揃えて歌っているんだ。
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
と
老爺
(
じじい
)
は泰然たる
返答
(
へんじ
)
をして、風呂場を見に行った。乃公は
錐
(
きり
)
で
揉
(
も
)
んだ穴を見つけられると困るから、直ぐ二階へ上って本を読み始めた。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「そう言えば、あの小汚い
老爺
(
じじい
)
もどこかで見ましたよ。何かの弾みで、二三本しか残らない歯を出して笑う顔が——」
銭形平次捕物控:084 お染の歎き
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
間抜
(
まぬ
)
けな若旦那も乗て居れば、頭の
禿
(
はげ
)
た
老爺
(
じじい
)
も乗て居る、
上方辺
(
かみがたへん
)
の
茶屋女
(
ちゃやおんな
)
も居れば、下ノ関の
安女郎
(
やすじょろう
)
も居る。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
それがまた、冬ばかりじゃあない、てんで火の気なんぞのいらないような真夏でさえもなんですからね。あの
老爺
(
じじい
)
は食事の支度をするんだと言っているんです。
世界怪談名作集:10 廃宅
(新字新仮名)
/
エルンスト・テオドーア・アマーデウス・ホフマン
(著)
暗くなった町を通って、家へ入って行った時、店の入口で見慣れぬ
老爺
(
じじい
)
の姿が、お島の目についた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「
老爺
(
じじい
)
を
対手
(
あいて
)
じゃ
先行
(
さきゆき
)
がしない。
可
(
よ
)
し、
直接
(
じかづけ
)
に
懸合
(
かけあ
)
おう。」とふいと立って奥へずかずか。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
来て見ると
此
(
こ
)
の始末で、
仔細
(
わけ
)
は知らぬが七兵衛
老爺
(
じじい
)
の箒の
下
(
もと
)
に、一人の女が殴り倒されているので、
制
(
と
)
めずには
居
(
い
)
られぬ。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
殺された
老爺
(
じじい
)
は傍に
刻
(
きざ
)
みの煙草盆を引寄せていたというのだから十中八九、これは犯人が吸い棄てたものではないか……しかも半分以上残っているところを見ると
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「
四五日
(
しごんち
)
前——」と言いかけしが、
老爺
(
じじい
)
はふと今の関係を思い
出
(
い
)
でて、言い過ぎはせざりしかと思い
貌
(
がお
)
にたちまち口をつぐみぬ。それと感ぜし武男は思わず顔をあからめたり。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
「いや、僕は心配になりますから、訊きに行ったんです。あの
老爺
(
じじい
)
は頑固ですよ。果して君が末席になるようなら、君が一年
後
(
おく
)
れるのは神さまの意志で仕方がないと言いましたぜ」
首席と末席
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「蓼斎があの晩、川越屋の裏のあたりをウロウロしている
老爺
(
じじい
)
を見たんだそうですよ」
銭形平次捕物控:084 お染の歎き
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「随分酷いのね。」と、お葉は落葉を掴んで
起上
(
おきあが
)
ったが、やがて
畜生
(
ちきしょう
)
と叫んで、
其
(
その
)
葉を七兵衛の
横面
(
よこつら
)
に叩き付けた。
眼潰
(
めつぶ
)
しを食って
老爺
(
じじい
)
も慌てた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
現場
(
げんじょう
)
を見なければ
判然
(
わか
)
らないが、その秘密の現金を狙った奴が、わざと
老爺
(
じじい
)
に上等の下駄を
誂
(
あつら
)
えて
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
さては帰京せしかと思いわびつつ、裏口より入り見れば、
老爺
(
じじい
)
一人
(
ひとり
)
庭の草をむしり
居
(
い
)
つ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
老
常用漢字
小4
部首:⽼
6画
爺
漢検準1級
部首:⽗
13画
“老爺”で始まる語句
老爺様
老爺染