翌晩あくるばん)” の例文
やがて夫の光国が来合わせて助けるというのが、明晩、とあったが、翌晩あくるばんもそのままで、次第に姫松の声がれる。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それが俺のあやまりであったよ、その翌晩あくるばんになると、俺はまたふらふらと岬の下へ往ったが、だ月が出ていないので、いわに腰をかけて待っていた、しかしその時は
宇賀長者物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
私は余り折檻せっかんが辛うございますから、たしかに思い切りますと言うんですけれども、またその翌晩あくるばん同じ事を言って苦しめられます時、自分でも、成程と心付きますが
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
俺はそれからむすめもとへ往ったが、その女子おなごのことが頭に一杯になっているので、むすめことばがおりおり耳に入らないことがある、(どうしたの、ねむいの)と云って、むすめは俺の体をったりした、翌晩あくるばん
宇賀長者物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
滅茶々々に負かして悪体をいてやると、大変に怒ってね、とうとう喧嘩けんかをしちまったもんだから、翌晩あくるばんはそこに泊ることも出来ないので、仕方が無いから帰って来たんだ。
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
翌晩あくるばんになると、むすめは切燈台の台を持って来て
宇賀長者物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
翌晩あくるばん、朝顔を踊った、お前さんを見たんだよ。目前めさきを去らないむすめさんにそっくりじゃないか。
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
翌晩あくるばんになるとまた昨夜ゆうべのように、同じ女が来て手を取って引出して、かの孤家へ連れてまいり、釘だ、縄だ、抜髪だ、蜥蜴とかげの尾だわ、肋骨あばらぼねだわ、同じ事を繰返して、骨身にこたえよと打擲ちょうちゃくする。
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
翌晩あくるばんも、また翌晩も、連夜まいよの事できっと時刻をたがえず、その緑青で鋳出いだしたような、蒼い女が遣って参り、例の孤家へ連れ出すのだそうでありますが、口頭くちさきばかりで思い切らない、不埒ふらちな奴
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
翌晩あくるばん夜更よふけて私を起しますから、もとよりこっちも目を開けて待ったところ、直ぐに支度したくをして、その時、帯をきりりとめた、引掛ひっかけに、先刻さっき言いましたね、手拭てぬぐいでくるくると巻いた鎌一ちょう
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)