緑玉エメラルド)” の例文
嗚呼ああ今の時、今の社会に於て、大器を呼び天才を求むるの愚は、けだし街頭の砂塵より緑玉エメラルドを拾はむとするよりも甚しき事と存候。
渋民村より (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
其風にまたたく小さな緑玉エメラルドの灯でゞもあるように、三十ばかりの螢がかわる/″\明滅する。縁にかけたりしゃがんだりして、子供は黙って見とれて居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
綿にくるんで燦然さんぜんたるダイヤ、青玉サファイヤ紅宝石ルビー蛋白石オパール黄玉トパーズ土耳古石ターコイズ柘榴石ガーネット緑玉エメラルド……宝石の山! 金も白金も眼眩めくらめかしく一杯に詰まっている。
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
「旧の十六日ですね、きつと。いゝ月でせう。空が、あんなによく晴れてゐます。東京の、濁つたやうな空と比べるとうです。これが本当に緑玉エメラルドと云ふ空ですね。」
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
灰皿にも用いよう。がねがわくば、竜涎りゅうぜん蘆薈ろかい留奇とめきの名香。緑玉エメラルド、真珠、紅玉ルビイらせたい。某国なにがし——公使の、その一品ひとしなおくりものに使ってから、相伝えて、外国の註文が少くない。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
羊の皮の手ざはりに金の箔押すわがこころ、思ひあがればある時は、紅玉ルビサフアイヤ、緑玉エメラルド金剛石ダイヤモンドをもちりばめむとする、何んといふかなしさぞや、るりいろ空に花咲かば忘れなぐさと思ふべし。
「わすれなぐさ」はしがき (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
緑玉エメラルド女衣ロオブ
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
銀色のつばさを閃かして飛魚の飛ぶ熱帯ねったいの海のサッファイヤ、ある時は其面に紅葉をうかべ或時は底深く日影金糸をるゝ山川の明るいふちった様な緑玉エメラルド
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「旧の十六日ですね、きっと。いゝ月でしょう。空が、あんなによく晴れています。東京の、濁ったような空と比べるとうです。これが本当に緑玉エメラルドと云う空ですね。」
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
侍女こしもとは千人だ。女郎蜘蛛が蛇に乗っちゃ、ぞろぞろぞろぞろみんな衣裳を持って来ると、すっと巻いて、袖を開く。すそを浮かすと、紅玉ルビイに乳が透き、緑玉エメラルドももが映る、金剛石ダイヤモンドに肩が輝く。
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
紫水晶と緑玉エメラルドとをちりばめて、エフィゲニウス家の定紋たるたてかぶととを浮き出さしめ、その下にラミセウス・ナミシウス・カアル・フォン・ワイゲルトの墓と当地の文字をもって表記しました。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
美くしく小さくつめたき緑玉エメラルドその玉らばかなしからまし
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
見れば小さな緑玉エメラルド
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
扇の冠、緑玉エメラルド
第二海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)