ぷし)” の例文
成程うでぷしつよさうに出来てゐるが、その二十年といふもの、金なぞたんまり握つた事の無ささうな掌面てのひらだなと弟子は思つた。
膝っぷしの痛みだと感違いしたりするんだそうで……むずかしい理窟はわかりませんが……とにかくソンナ訳なんだそうです。
一足お先に (新字新仮名) / 夢野久作(著)
膝ッぷしひじもムキ出しになっている絆纏はんてんみたようなものを着て、極〻ごくごく小さな笠をかぶって、やや仰いでいる様子は何ともいえない無邪気なもので
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
それはうでぷしが強くて、さながら町の英雄でした。町の英雄というのはどこにでもあり、どこででも調法ちょうほうがられました。
「そこで途中のやぶでそのうでぷしで貝がられるのか、そうは子供をあやすようにはまいらぬ。」
村人の為に使つかあるきや物の取片付けや、火の番や、うでぷしの強いものならば泥棒に対する警固やなどの如き、村人のいやがる職務を引受けて、生活の資を求めて行くに至るのは
「いいか、急いで自身番へ行ってナ、うちにこれから捕物とりものがありますからって、町内五人組の方に来て貰うんだ——すこし手強てごわいから、うでぷしのつよいやつをまとめてくるように——」
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
といつて、内々ない/\喧嘩の心積りをしてゐた。秀和は俳諧こそ其角よりは下手だつたが、以前が侍だけに、うでぷしはずつと太いのを持つてゐた。
それから十日ばかり経って、江戸はすっかり夏になりきった頃、ガラッ八の八五郎は、相変らずまげぷしを先に立てて、銭形平次の家に飛び込んで来ました。
小説を読んでゴロゴロしたり、女のけつばかり追いまわしたりして、さっぱりダラシが御座んせん。両親が亡くなりますと一気に、親類には見離される。苦学する程の骨ッぷしもなし。
悪魔祈祷書 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
身体からだこそこんなに貧弱な野郎だが、兇状持揃きょうじょうもちぞろいの機関室でも、相当押え付けるだけのうでぷしと度胸だけは口幅くちはばったいが持っているつもりだ。現に船員連中ふねじゅうから地獄の親方と呼ばれている位だ。
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
翌る日、八五郎は相變らずまげぷしを先に立てゝ飛んで來ました。
曲ったまんまの膝っぷしとが、まるで火が付いたように痛むじゃないの。
支那米の袋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ガラッ八は左に曲ったまげぷしを押えました。