筋向すぢむか)” の例文
筋向すぢむかうの駄菓子屋の婆アがさう言つて居ましたよ。初めのうちは氣が付かなかつたが、近頃は毎日食べ物を持つて來てやるから、ツイ顏を
此汽車は名古屋どまりであつた。会話はすこぶる平凡であつた。只女が三四郎の筋向すぢむかふに腰を掛けたばかりである。それで、しばらくの間は又汽車のおと丈になつて仕舞ふ。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
してお内儀かみさんはと阿關おせきへば、御存ごぞんじで御座ござりましよ筋向すぢむかふの杉田すぎたやがむすめいろしろいとか恰好かつかううだとかふて世間せけんひと暗雲やみくもめたてたもの御座ござります
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
から、筋向すぢむかうの土藏附どざうつき二階家にかいやに、一人ひとりちがつたをんながあつたのである。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なにをもかへらず店口みせぐちから下駄げたいて筋向すぢむかふの横町よこちようやみ姿すがたをかくしぬ。
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ふ。さけこゑは、たしかに筋向すぢむかひの二階家にかいやの、軒下のきしたのあたりとおぼえた。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)