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穽
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おとしあな
ふりがな文庫
“
穽
(
おとしあな
)” の例文
だからそこに云うに忍びない苦痛があった。彼らは残酷な運命が
気紛
(
きまぐれ
)
に罪もない二人の不意を打って、面白半分
穽
(
おとしあな
)
の中に突き落したのを無念に思った。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
されどなほその火を躍り越えて入り来たるにより、つひには馬の綱を解きこれを張り回らせしに、
穽
(
おとしあな
)
などなりとや思ひけん、それより後は中に飛び入らず。
遠野物語
(新字旧仮名)
/
柳田国男
(著)
落ちたら出る事ならぬ
穽
(
おとしあな
)
や木葉に
黐
(
もち
)
塗りて虎に
粘
(
ねばりつ
)
き狂うてついに眼が見えぬに至らしむる
設計
(
しかけ
)
等あるが、欧人インドで虎を狩るには銃を揃え象に乗って撃つのだ。
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
二人は
悪戯
(
いたずら
)
盛りのころから、小学校で知り合った。
子猿
(
こざる
)
みたいなコーンはクリストフに悪戯をしかけた。クリストフはその
穽
(
おとしあな
)
にかかったのを知ると、ひどい返報をしてやった。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
それを払いかねて木部が命限りにもがくのを見ると、葉子の心に純粋な同情と、男に対する無条件的な捨て身な態度が生まれ始めた。葉子は自分で造り出した自分の
穽
(
おとしあな
)
にたわいもなく酔い始めた。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
▼ もっと見る
私を
企
(
たく
)
らみのある道樂者——あなたを企らんで張つた
穽
(
おとしあな
)
の中に引き込み、あなたの名譽を
剥
(
は
)
ぎ、あなたの自尊心を盜まうとして、清廉な愛を
裝
(
よそほ
)
つてゐた低い
賤
(
いや
)
しい放蕩者だとお思ひになる譯ですね。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
だから
其所
(
そこ
)
に
云
(
い
)
ふに
忍
(
しの
)
びない
苦痛
(
くつう
)
があつた。
彼等
(
かれら
)
は
殘酷
(
ざんこく
)
な
運命
(
うんめい
)
が
氣紛
(
きまぐれ
)
に
罪
(
つみ
)
もない
二人
(
ふたり
)
の
不意
(
ふい
)
を
打
(
う
)
つて、
面白
(
おもしろ
)
半分
(
はんぶん
)
穽
(
おとしあな
)
の
中
(
なか
)
に
突
(
つ
)
き
落
(
おと
)
したのを
無念
(
むねん
)
に
思
(
おも
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
されどなおその火を躍り越えて入り来るにより、ついには馬の
綱
(
つな
)
を
解
(
と
)
きこれを
張
(
は
)
り
回
(
めぐ
)
らせしに、
穽
(
おとしあな
)
などなりとや思いけん、それよりのちは中に飛び入らず。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
(その男も彼を
穽
(
おとしあな
)
に陥れた同類だと信ぜらるる理由があった。)——オイフラートにとってもまたクリストフにとっても仕合わせなことには、舞台へ通ずる
扉
(
とびら
)
が
閉
(
し
)
まっていた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
あの厭はしいソーンフィールド
莊
(
ホオル
)
——この呪はれた場所——エイカンの
天幕
(
テント
)
——大空の光に、生ける屍の物凄さを與へる、この不遜な
穽
(
おとしあな
)
——我々が想像するやうな場所よりも、もつと惡い、本當の
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
穽
漢検1級
部首:⽳
9画
“穽”を含む語句
陥穽
陷穽
狼穽
穽穴
口穽
檻穽