づみ)” の例文
が、砂地すなぢ引上ひきあげてある難破船なんぱせんの、わづかに其形そのかたちとゞめてる、三十こくづみ見覺みおぼえのある、ふなばたにかゝつて、五寸釘ごすんくぎをヒヤ/\とつかんで、また身震みぶるひをした。
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
大川筋の船、大きいのは五百石、千石づみから、小さいのは釣舟、緒牙船ちよきぶねにいたるまで、虱潰しらみつぶしに調べあげられた結果、拔荷ぬけにを積んだ船が一艘發見されました。
百石づみ以上の船に焚草を積み油の古樽をこれに交え火薬を以て火口とし、長縄を以て五、六そうつらね、船々相離るること十間ばかりにして風上より夷船へ乗掛け火を放ち、火起るを
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
新着のビック特製二トンづみダブルタイヤで、横浜市外の渋戸しぶと材木倉庫から米松べいまつを運搬すべく、交通の少い夜半に同国道を往復していたもので、損害といってはヘッド・ライトと機械を打壊うちこわ
衝突心理 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それは、安治川から水を引いて水門のうちへ諸船をつないでおくお船蔵ふなぐら——。荷船、脇船わきぶね色塗いろぬり伊達小早だてこはやなどが七、八そうみえる中に、群をぬいて大きな一艘のお関船せきぶねは阿波の用船千石づみまんじ丸。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私はふらふらと真暗い材木づみの蔭からソロソロと歩き出して、向側の車道に片足をかけようとした。この時、左の方から疾走して来たパッカードのオープンが烈しい警笛を鳴らしながら、行きすぎた。
冥土行進曲 (新字新仮名) / 夢野久作(著)