はか)” の例文
そうして体量をはかって行くとだんだんに減ずるのである。そこで次には食物の分量をずっとふやしてみる。そうすると体重はふえだす。
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)
五十畳ほどの座敷へ二列ならびに帳場格子をおいて、二十人ばかりの勘定役、改役がいそがしそうに小判をはかったり、包装したりしている。
顎十郎捕物帳:07 紙凧 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
死人のごうはかはかりの上に狗頭猴が坐し、法律の印したる鳥羽と死人の心臓が同じ重さなるを確かめてこれを親分のトットに報ずるところだ。
王は喜んで金をはかって王成に渡した。王成はそれを嚢に入れて礼をいってから外へ出た。外へ出ると主人がうらんでいった。
王成 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
彼等は女子の力が『はかるべからざる』価値の創造せらるゝ領域にありて最大なるものであることを学ばなければならない。
恋愛と道徳 (新字旧仮名) / エレン・ケイ(著)
革命のメネ・テケル・ウパルシン(数えられぬ、はかられぬ、分かたれぬ)を他日書くべき、魔法の活字の箱の前に就いた。
先刻さっき僕は、鍵の紛失した薬物室に犯人をはかるものがあると云った。また、易介の死因に現われた疑問を解こうとして、レッサーの著書に気がついたのだ。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「ああ、むかい側もおんなじだ。久留島さんだ。そのおとなりが、糸屋さん。そのまた隣が、はかり屋さん。ちっとも変っていないんだなあ。や、富士が見える。」
新樹の言葉 (新字新仮名) / 太宰治(著)
薬を精密なバランスではかって、色々の組合くみあわせをつくって置いて、その各々を色々の温度と色々の時間で焼いて見て、高温計と時計とで、精確な記録をとっておけば
九谷焼 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
正味をはかつて見てからものを言ひたいのである。つまり「ミヤコ・ホテル」の正味は今日に於ては明瞭に俳句精神が老年者の遊び文学でなかつたことを意味するのである。
俳句は老人文学ではない (新字旧仮名) / 室生犀星(著)
即ちその心臓をはかりにかけられて罪の軽重をはかられ、罪無き者は神とがっし、罪の軽いものは禽獣草木に生れ換り、悪業の深い者は魔神のために喰ってしまわれる事になっておりました。
鼻の表現 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
『目方をはかるんだよ。その方が早いからね。其の目方から数を推定するのだ。』
帳塲格子ちやうばかうしのうちに此娘このこへて愛敬あいけうらすれば、はかりのかく勘定かんぢやうしらずのわかものなど、なにがなしにつて大方おほかた毎夜まいよ十二くまでみせきやくのかげえたることなし、いそがしきは大和尚だいおしやう
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
帳場格子のうちにこのを据へて愛敬を売らすれば、はかりの目はとにかく勘定しらずの若い者など、何がなしに寄つて大方毎夜十二時を聞くまで店に客のかげ絶えたる事なし、いそがしきは大和尚
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)