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硯筥
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すずりばこ
ふりがな文庫
“
硯筥
(
すずりばこ
)” の例文
基経は姫の
棺
(
ひつぎ
)
に、
香匳
(
こうれん
)
、
双鶴
(
そうかく
)
の鏡、
塗扇
(
ぬりおうぎ
)
、
硯筥
(
すずりばこ
)
一式等をおさめ、さくら
襲
(
かさね
)
の
御衣
(
おんぞ
)
、薄色の
裳
(
も
)
に、
練色
(
ねりいろ
)
の
綾
(
あや
)
の
袿
(
うちぎ
)
を揃えて入れた。
姫たちばな
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
嘗
(
か
)
つて光悦作と伝えらるる船橋
蒔絵
(
まきえ
)
硯筥
(
すずりばこ
)
をみたときも、私はそれを指で押してみたい誘惑を禁じえなかった。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
そして隅の方に眠たげにひかえている小姓へ向い、
硯筥
(
すずりばこ
)
を求めて、その扇子へ何やらしたため終ると
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もうちっとしたら貰えましょうと慰めるのも油になって、やゝ久しく無言で居たが、筆をと云うに女が
硯筥
(
すずりばこ
)
を持来り、
磨
(
す
)
りましょうという下からもはや筆を溜り水に染めて
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
屏風
(
びょうぶ
)
の陰に用い慣れた
寄木
(
よせき
)
の小机を置く。
高岡塗
(
たかおかぬり
)
の
蒔絵
(
まきえ
)
の
硯筥
(
すずりばこ
)
は書物と共に
違棚
(
ちがいだな
)
に移した。机の上には油を
注
(
さ
)
した
瓦器
(
かわらけ
)
を供えて、昼ながらの
灯火
(
ともしび
)
を一本の
灯心
(
とうしん
)
に
点
(
つ
)
ける。灯心は新らしい。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
「いや、おもしろうなったぞ。雪はよし、酒はよし、これで吉野太夫が見えれば申し分のないところ。光悦どの、使いをやんなされ。——これ、これ女、そこの
硯筥
(
すずりばこ
)
、硯筥」
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
硯筥
(
すずりばこ
)
を横に、おあるじの白い影は、いま筆を
擱
(
お
)
いたかのように、そこに独り
寂
(
せき
)
としていた。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こういって
晴季
(
はるすえ
)
は、
千鳥棚
(
ちどりだな
)
の
硯筥
(
すずりばこ
)
と
懐紙
(
かいし
)
を取りよせ、さらさらと
文言
(
もんごん
)
をしたためだした。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一
閑張
(
かんば
)
りの小机があります。お蝶は覆面のまま前に坐っておりましたが、思いついた風に、
硯筥
(
すずりばこ
)
の
蓋
(
ふた
)
をとり、有合せの江戸川紙へこんな文字を幾つもうつつに書き散らしてみる。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、命じ、さらに
硯筥
(
すずりばこ
)
をこれへと求めて、恵瓊の眼のまえで
書判
(
かきはん
)
を
誌
(
しる
)
した。そして白い小皿のうえに左手の小指をかざし、刃をあてて血しおを出し、書判のわきへさらに血判を加えた。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
介三郎は
硯筥
(
すずりばこ
)
をもとの位置へおくと、そこから両手をつかえて、無言に
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そしてただ料紙と
硯筥
(
すずりばこ
)
とを藤吉郎の前へ持って来た。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
硯筥
(
すずりばこ
)
を取ってくれた近所の細君へ示してたずねた。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「蘭丸。料紙と
硯筥
(
すずりばこ
)
を」
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
料紙
(
りょうし
)
、
硯筥
(
すずりばこ
)
があるか」
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
硯
漢検準1級
部首:⽯
12画
筥
漢検1級
部首:⽵
13画
“硯”で始まる語句
硯
硯箱
硯友社
硯屏
硯石
硯蓋
硯々
硯水
硯海
硯北日録