トップ
>
盲目
>
めしい
ふりがな文庫
“
盲目
(
めしい
)” の例文
その途端に、暴風のような長屋の同胞たちの喚きに交じって、ひとりの
盲目
(
めしい
)
が、取りみだして叫ぶ声を彼は聞きのがさなかった。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
貧しき家の夕闇に
盲目
(
めしい
)
の老夫のかしらを剃りたるが、
兀然
(
ごつぜん
)
として仏壇に向ひて
鉦
(
かね
)
叩き経
誦
(
よ
)
める後姿、初めて見し時はわけもなく物おそろしくおぼえぬ。
礫川徜徉記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
はっと驚く暇もなく彼女は
何所
(
どこ
)
とも
判
(
わか
)
らない深みへ
驀地
(
まっしぐら
)
に陥って行くのだった。彼女は眼を開こうとした。しかしそれは堅く閉じられて
盲目
(
めしい
)
のようだった。
クララの出家
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
盲目
(
めしい
)
が見えましたり、
跛
(
あしなえ
)
が立ちましたり、
唖
(
おし
)
が口をききましたり——一々数え立てますのも、煩わしいくらいでございますが、中でも一番名高かったのは
邪宗門
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
盲目
(
めしい
)
は、あかい
手絡
(
てがら
)
をかけた、若い女房に手を
曳
(
ひ
)
かれて来たが、敷居の外で、二人ならんで
恭
(
うやうや
)
しく
平伏
(
ひれふ
)
した。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
盲目
(
めしい
)
の芸人となって、座興の席を
漂泊
(
さすろ
)
うてあるく今の境遇と、どちらがよいかは分らぬが、わしは、決して、後悔はしていない。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
破三味線
(
やぶれざみせん
)
、
盲目
(
めしい
)
の琴、
南無妙
(
なむみょう
)
太鼓、四ツ竹などを、叩立て、
掻鳴
(
かきなら
)
して、奇異なる雑音遠くに
達
(
いた
)
る。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その頃
金富町
(
かなとみちょう
)
なるわが家の
抱車夫
(
かかえしゃふ
)
に虎蔵とて背に
菊慈童
(
きくじどう
)
の筋ぼりしたるものあり。その父はむかし
町方
(
まちかた
)
の手先なりしとか。老いて
盲目
(
めしい
)
となり
忰
(
せがれ
)
虎蔵の世話になり極楽水の裏屋に住ひゐたり。
礫川徜徉記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
波
(
なみ
)
のあらい北の海、
吹雪
(
ふぶき
)
のすさぶ
橡
(
とち
)
ノ
木
(
き
)
峠
(
とうげ
)
、それから
盲目
(
めしい
)
になってまで、京都の空へ向かっても、おいらは、クロよ、クロよと
呼
(
よ
)
んでいた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
硝子越に
彼方
(
むこう
)
から
見透
(
みえす
)
くのを、主税は何か
憚
(
はば
)
かって、ちょいちょい気にしては目遣いをしたようだったが、その風を見ても分る、優しい、深切らしい乳母は、
太
(
いた
)
くお
主
(
しゅう
)
の
盲目
(
めしい
)
なのに同情したために
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
誰か助けてやらないか、
観世音
(
かんぜおん
)
はアレを救おうとしないのか、あの
盲目
(
めしい
)
の小娘を見殺しにするのか。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
孝に眼をあけているつもりでも、忠には
盲目
(
めしい
)
。そちの修業は片目とみゆる。いま玄徳さまは、帝室の
冑
(
ちゅう
)
たり、英才すぐれておわすのみか、民みなお慕い申しあげておる。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
子供ずきらしく、とくにまた、
盲目
(
めしい
)
の覚一を
憐
(
あわ
)
れんでか。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
盲
常用漢字
中学
部首:⽬
8画
目
常用漢字
小1
部首:⽬
5画
“盲目”で始まる語句
盲目縞
盲目滅法
盲目的
盲目地
盲目結
盲目馬
盲目突
盲目探
盲目少女
盲目按摩