目当めあ)” の例文
旧字:目當
いの目当めあての神はどういう神か、是がわかるとよいのだが、島の人には口にする必要もなかったのであろう。その点がそうはっきりとしていない。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「やれやれ、がたい、これでたすかった。」とおもって、一生懸命いっしょうけんめいあかりを目当めあてにたどって行きますと、なるほどうちがあるにはありましたが、これはまたひどい野中のなかの一つで、のきはくずれ
安達が原 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
ユリの花はいちじるしい虫媒花ちゅうばいかで、主として蝶々ちょうちょうが花を目当めあてに頻々ひんぴんと訪問する常得意じょうとくいである。それで美麗びれい花色かしょくが虫を呼ぶ看板かんばんとなっており、その花香かこうもまた虫をさそう一つの手引てびきをつとめている。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
なんであろう? と、かれは、おどろきもし、またよろこびもしました。そして、きゅうに、元気げんきて、小鳥ことりは、このあかるい目当めあてに、いっしょうけんめいにあめ暴風ぼうふうなかけてきたのでありました。
小さな金色の翼 (新字新仮名) / 小川未明(著)
研究所のすべての窓は真暗まっくらであった。みんな寝てしまったであろうかと始めは思ったけれど、窓の一つからすこしれているので、一同はそれを目当めあてにしてその窓下へ身をひそめたわけである。
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)