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病的
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びやうてき
そして何時とは無く
病的に華族嫌となツて了ツた。此の反動として、彼は
獨斷で、父の
所思に頓着なくドシ/\繪畫の研究に
取懸つた。
世間から
見ては、
病的な
頭脳や
狂人じみた
気質の
人もないことはなかつた。
竹村自身にしたところで、この
点では、
余り
自信のもてる
方ではなかつた。
讀書は
彼の
病的の
習慣で、
何んでも
凡そ
手に
觸れた
所の
物は、
其れが
縱令去年の
古新聞で
有らうが、
暦であらうが、一
樣に
饑えたる
者のやうに、
屹度手に
取つて
見るのである。
さなきだに
彼の
憔悴した
顏は
不幸なる
内心の
煩悶と、
長日月の
恐怖とにて、
苛責まれ
※いた
心を、
鏡に
寫したやうに
現はしてゐるのに。
其廣い
骨張つた
顏の
動きは、
如何にも
變で
病的で
有つて。
稍もすれば
病的なことのみを
考へたり
言ツたりするのであらう。