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疾驅
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しつく
それも
僅に
桑の
木へ
絡んだ
晝顏の
花に一
杯の
量を
注いでは
慌てゝ
疾驅しつゝからりと
熱した
空が
拭はれることも
有るのであるが
其の
驚くべき
迅速な
脚が
空間を一
直線に、さうして
僅な
障害物であるべき
梢の
凡てを
壓しつけ
壓しつけ
林を
越えて
疾驅して
來るのは
今もう
直である。
彼は
疾驅しようとして、
其の
確乎と
身を
据ゑた
位置から一
歩を
踏み
出した
時、じやりつと
其爪先を
打つて
財布が
落ちた。
彼が
顧みた
時財布は二三
歩後に
發見された。