男達おとこだて)” の例文
二人目は浅草大音寺前人入れ稼業新九郎の身内十兵衛と申す奴ゆえ、男達おとこだてにバクチ打ちは縁ある仲じゃ。人好し長次がこの方を探ってな。
かつて男達おとこだてとして名を売り、命を投げ出して暴れまわったつらだましいは、四十歳を越したいまでもその風貌に残っている。
やい/\此処こゝ何処どこと心得てる、大伴蟠龍軒の道場へ来て、手前達が腕を突張つっぱり、弱い町人や老人をおどかして侠客の男達おとこだてのと云う訳にはいかぬ
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
大口屋暁雨ぎょうう侠気きょうきと、男達おとこだて釣鐘庄兵衛の鋭い気魄きはくを持って生れながら、身分ちがいの故に腹を切るという、その頃では、まだ濃厚に残っていた差別待遇をふうした作を残している。
田沢稲船 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
男達おとこだて梅の由兵衛古主こしゅうの息子金谷かなや金五郎に、その情婦にて元は由兵衛の古主にちなみある芸者小さんを身受みうけして添はせんため、百両の金の工面にくるしみし折しも、由兵衛の妻小梅の弟なる長吉が
両座の「山門」評 (新字旧仮名) / 三木竹二(著)
繻打奴しゅすやっこ、相撲取などが懐から毛抜入れを取出し、五寸ばかりもあろうと思う大鑷でひげを抜き、また男達おとこだて牀几しょうぎに腰打掛けて大鑷で髯を抜きながら太平楽たいへいらくを並べるなどは、普通に観るところであるが
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
「此節急にはびこって来た、町奴まちやっこ男達おとこだての仕業じゃありませんか」
母親が甘う育てたからお前が左様なる身持になり、親分とか勇肌いさみはだの人と交際つきあいをして喧嘩の中へ入り、男達おとこだてとかなんとか実にどうもしからん致方いたしかた、不埓者め
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「あっしも男達おとこだてとか町奴まちやっことか人にかれこれいわれる江戸っ子、いうな、いいませぬと男に誓って頼まれたからにゃ、鉛の熱湯をつぎ込まれましても名は明かされませぬッ」
政右衛門は三十五歳になる、不動の政といって、ひところは男達おとこだてとして暴れまわった。
男達おとこだてなどは智慧もあり又身代しんだいも少しはくなければなりませんし無論弱くては出来ませぬが、文治の住居すまいは本所業平村の只今植木屋の居ります所であったと云うことでございます。
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
あッしとても人から男達おとこだてだの町奴まちやっこだのとかれこれ言われて、仮りにも侠気おとこぎを看板にこんなやくざ稼業をしておって見れば、決して死ぬのを恐ろしいとも怖いとも命に未練はねえんですが
の方は浦賀で大した人で、さっぱりした気象きッぷのよい男達おとこだてで、女などをめたことのない方ですが、あなたをまア親孝行のお嬢様だって独りで誉めて居て、大概な者は気に入りませんが
これはしからん事を仰しゃる、貴方は此の浦賀中で男達おとこだてとか侠客とか人がお前様まえさんを尊敬する所の現在名主役をも勤めて立派なお方、物のたばねをもなさる方で礼儀作法もお心得であろうのに
左様な男達おとこだてという様な馬鹿らしい人は近年ひらけてなくなりました。