珊瑚礁さんごしょう)” の例文
その、もう一つ外側に椰子ヤシ林が続き、さてそれからは、白い砂浜——海——珊瑚礁さんごしょうといった順序になる。美しいけれども、寂しい島だ。
フレンチ・フリゲート礁とは三日月形をした大きな珊瑚礁さんごしょうで、この珊瑚礁のなかには、小さな砂の島が、いくつもならんでいた。
無人島に生きる十六人 (新字新仮名) / 須川邦彦(著)
そう云えばかつい肩のあたりや、指節ゆびふしの太い手の恰好かっこうには、いまだ珊瑚礁さんごしょうしおけむりや、白檀山びゃくだんやまの匂いがしみているようです。
報恩記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
後年のデパートメントストアの予想アンチシペーションであり胚芽エンブリオのようなものであったが、結局はやはり小売り商の集団的蜂窩ほうかあるいは珊瑚礁さんごしょうのようなものであったから
銀座アルプス (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
海底はうんと浅くなって、うす青いきれいな水を通して珊瑚礁さんごしょうが、大きなじゅうたんをしきつめたように見える。その間に、小魚が元気よく泳いでいる。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
珊瑚礁さんごしょうの隆起でできたような平島では、稲を生育せしめるような浅水の地はそう多くはなかった。南方の諸島では、通例小さな水面をコモリと呼んでいる。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
そして、夜もあけ、海面がしだいに穏やかになり、思いがけない珊瑚礁さんごしょうを間近に見た時には、二人とも、いままでの苦しさからすくわれたように、ほっとした。
秘境の日輪旗 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
用いる釉薬うわぐすりは他に例がなく、珊瑚礁さんごしょうから得られる石灰と籾殻もみがらとを焼いて作ります。おっとりした調子で、白土の上にでも用いますと、支那の宋窯そうようを想わせます。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
ハムの赤い珊瑚礁さんごしょうがちらと顔を出していて、キャベツの黄色い葉は、牡丹ぼたん花瓣かべんのように、鳥の羽の扇子のようにお皿に敷かれて、緑したたる菠薐草ほうれんそうは、牧場か湖水か。
女生徒 (新字新仮名) / 太宰治(著)
それから、船乗りをしているおじさんの話をきき、珊瑚礁さんごしょうのことや貝殻ばかりの浜辺のことなどをきいてからは、メンコやベーゴマよりも、いろいろな貝殻を集めるのが面白くなりました。
市郎の店 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
珊瑚礁さんごしょうだったら、つまらないなア」
怪奇人造島 (新字新仮名) / 寺島柾史(著)
それは、これから先、衣服はなくてはならぬものであるし、また、珊瑚礁さんごしょうを洗う荒波を渡るとき、波にころがされても、けがをしないためであった。
無人島に生きる十六人 (新字新仮名) / 須川邦彦(著)
ひる近く、船は珊瑚礁さんごしょう罅隙かげきの水道を通って湾に入った。S島だ。黒き小ナポレオンのいるというエルバ島である。
桟橋さんばしにはいろいろの物売りが出ている。とうのステッキ、更紗さらさ、貝がら、貝細工、菊形の珊瑚礁さんごしょう鸚鵡おうむ貝など。
旅日記から (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
八重山と宮古と二つの島群のちょうど中間に、多良間たらまと称する珊瑚礁さんごしょうで囲まれた小さな孤島がある。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
それに昆虫類や、魚類や、貝類等はその種類はなはだ多く、色彩は美麗を極め、博物学者の心をそそる所です。島の多くは珊瑚礁さんごしょうで、岸辺の浅い所は碧緑へきりょくの美しさを呈します。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
ボートは珊瑚礁さんごしょうの海を気持よくすべってゆく。
恐竜島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
小さな珊瑚礁さんごしょうに、水の出るはずがない。しかし、せっかく島へあがっても、命をつなぐ水がないといったら、一同は、どんなにがっかりするであろう。
無人島に生きる十六人 (新字新仮名) / 須川邦彦(著)
佐渡さどじゃ蚯蚓みみずふんにひるという、近代の俗謡にもあるように、この東方の珊瑚礁さんごしょう間の島々では、腰蓑こしみの一つであるき廻ったほどの自然児が、ひまにまかせて朝夕にってはつな
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
珊瑚礁さんごしょうを作るような珊瑚のうちに、上記の噴泉塔とも類似し、またシャボテンのうちにうりのような格好で、縦に深くひだのはいったのがある、あれともいくらか似た形のものがある。
自然界の縞模様 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
あじわおおい宋窯そうように近いものがあり、有名な犬山等より一段といい。大体釉薬うわぐすりに特色があり、珊瑚礁さんごしょう籾殻もみがらとを焼いて作り、独特の柔味やわらかみを見せる。この釉薬こそは壺屋の大きな財産といえよう。
現在の日本民窯 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)