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獨身
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どくしん
彼は
其の
奉公して
獲た
給料を
自分の
身に
費して
其の
頃では
餘所目には
疑はれる
年頃の卅
近くまで
獨身の
生活を
繼續した。
其間に
彼は
黴毒を
病んだ。
張んと思ひ日夜
工夫なし居たりしが茲に甚兵衞は先頃より
日雇などに
雇はれし
南茅場町の
木村道庵と云醫師あり
獨身なれども大の
吝嗇者ゆゑ小金を持て居るよしを
(
私が、
獨身であつたなら!)
中でも、
時雨さんは、
美人である(
多分、
女性は
美人であるといはれることを
喜ぶにちがひない、と
私は
信じてゐるのだが——)それからまた、
生粹の
江戸つ
子は
感じ
親類始め皆々
打寄厚く世話をなし後
懇切にぞ弔ひける夫より後九助は
獨身となり
艱難に
暮しける中にも
亡父母の
遺言片時も忘れず朝夕の
回向怠りなく
勤め一人工風を
ば
寶澤と改めける感應院は元より妻も子もなく
獨身の事なる故に寶澤を
實子の如く
慈みて
育けるが此寶澤は
生ながらにして
才智人に
勝れ
發明の性質なれば
讀經は
云に
及ず其他何くれと
教るに一を