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焔硝
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えんしょう
ふりがな文庫
“
焔硝
(
えんしょう
)” の例文
「それ、焼討ちにかかれ」と、河の南北からわたって、
焔硝
(
えんしょう
)
、枯れ柴、
油弾
(
ゆだん
)
などを仮城へ投げかけ、河には油を流して火をかけた。
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
馬烟
(
うまげむり
)
や
鬨
(
とき
)
の声、
金鼓
(
きんこ
)
の乱調子、
焔硝
(
えんしょう
)
の香、鉄と火の世の中に生れて来た
勝
(
すぐ
)
れた魂魄はナマヌルな魂魄では無い、皆いずれも火の玉だましいだ
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
大筒の尾栓は大丈夫でも、半十郎は江州鉄砲鍛冶の家伝を継いで、五十丁撃の猛烈な威力を持って居る、火薬
焔硝
(
えんしょう
)
の製法には自信が無かったのです。
江戸の火術
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それをそこの林の木の枝にさげて
縊死
(
いし
)
を装わしめる ★窓外からうったピストルを室内に投げこみ、被害者の衣服にあらかじめ
焔硝
(
えんしょう
)
のあとをつけておいて
探偵小説の「謎」
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
あとになって軍用の荷物をあけて見たら、あなた、桜沢口の方へは鉄砲の玉ばかり行って、大平口の方へはまた
焔硝
(
えんしょう
)
(火薬)ばかり来ておりましたなんて。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
焼け焦げたような顔色から
推
(
お
)
してこの男が、
焔硝
(
えんしょう
)
のけむりはともかく、煙草のけむりには相当お馴染になっていることが
窺
(
うかが
)
われた。彼はチチコフに向って丁寧にお辞儀をした。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
へっついの火皿を二段に組んで、上の段には
附木
(
つけぎ
)
と薪をのせ、中の段には、ちょうど一日か一日半もえるだけの硫黄の塊に火をつけてのせ、下の段には、
焔硝
(
えんしょう
)
と
炭粉
(
すみこ
)
をつめておく。
顎十郎捕物帳:13 遠島船
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
とも知らず、味方の蛮兵は、諸方から
焔硝
(
えんしょう
)
や油壺を投げて、ここを必死で火攻めにかけている。孟獲は孟優の体を抱えて、飛び出した。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
燧石
(
ひうちいし
)
と火打鎌と、
火口
(
ほくち
)
と
硫黄
(
いおう
)
付け木じゃ、あんなことはむずかしかろう。——そんなたよりない火付け道具で、四年越しの
悪戯
(
いたずら
)
はできない——
焔硝
(
えんしょう
)
かな——」
銭形平次捕物控:135 火の呪い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
自然と
焔硝
(
えんしょう
)
の煙に
馴
(
なれ
)
ては
白粉
(
おしろい
)
の
薫
(
かお
)
り思い
出
(
いだ
)
さず
喇叭
(
らっぱ
)
の響に夢を破れば
吾妹子
(
わぎもこ
)
が寝くたれ髪の
婀娜
(
あだ
)
めくも
眼前
(
めさき
)
にちらつく
暇
(
いとま
)
なく、恋も命も共に忘れて敗軍の無念には
励
(
はげ
)
み、
凱歌
(
かちどき
)
の鋭気には乗じ
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
ペッ、ペッ、口のつばきを
吐
(
は
)
きちらして、こんどは、
洗
(
あら
)
いかけていた
焔硝
(
えんしょう
)
いぶりの顔のしずくを
両方
(
りょうほう
)
の
袖
(
そで
)
で
拭
(
ふ
)
きまわしている……。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
書き落しましたが、曲者が寺と法要のある家を狙ったのは、
焔硝
(
えんしょう
)
に仕掛けた線香の口火の匂いを誤魔化すためで、たまたま切支丹が疑われたのを、ちょうどいいことに利用したのです。
銭形平次捕物控:135 火の呪い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そして寝しずまる頃を待ち、客舎のまわりに投げ
炬火
(
たいまつ
)
をたくさんに用意し、乾いた柴に
焔硝
(
えんしょう
)
を抱きあわせて、柵門の内外へはこびあつめた。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「自分は、後陣としてゆくが、汝らはなお我が後から続いてこい。なお
硫黄
(
いおう
)
焔硝
(
えんしょう
)
を充分に携えて来るように」といいつけた。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
地を揺り上げられた心地で、はッと
恟
(
すく
)
んだ途端に、小石交じりの土が、
焔硝
(
えんしょう
)
のけむりと一緒に、びしゃッと、飛んで来た。
山浦清麿
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼らは手に手に
硫黄
(
いおう
)
、
焔硝
(
えんしょう
)
、獣油、枯れ柴など、物騒な物のみ持ち込んでいた。頃はよしと、孟獲は躍り上がって
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
また、
関平
(
かんぺい
)
と
劉封
(
りゅうほう
)
とは各五百人を率して、
硫黄
(
いおう
)
焔硝
(
えんしょう
)
をたずさえ、博望坡の両面より、火を放って敵を火中につつめ
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
けれど車輛の上にはみな青い布がかぶせてあって、その下には
硫黄
(
いおう
)
、
焔硝
(
えんしょう
)
、また油や柴などがかくしてあった。これが郭淮の考えた蜀軍を釣る餌なのである。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
例の
黄蓋
(
こうがい
)
が、かねての計画どおり、二十余艘の兵船快舟を用意して、内に乾し草枯れ
柴
(
しば
)
を満載し、
硫黄
(
いおう
)
、
焔硝
(
えんしょう
)
を下にかくし、それを青布の幕ですっかり
蔽
(
おお
)
って
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
風起らば江北の敵陣へ寄せ、
硫黄
(
いおう
)
焔硝
(
えんしょう
)
を投げて、彼の陣々を風に従って焼き払え。——また韓当は一軍を
率
(
ひき
)
いて、同時に江北の岸へ上陸する。周泰は江南の岸へ攻めかかれ。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
なにかいおうとしたらしいが、いまになって
焔硝
(
えんしょう
)
にむせんで、あとのことばがでずにしまう。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
徐晃の奇襲隊は、用意の
硫黄
(
いおう
)
や
焔硝
(
えんしょう
)
を投げつけ、敵の糧車へ、八方から火をつけた。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“焔硝(
硝石
)”の解説
硝石(しょうせき、nitre、niter、saltpeter)は、硝酸塩鉱物の一種。化学組成は(硝酸カリウム)、結晶系は斜方晶系。日本における古名は、消石、煙硝、焔硝、塩硝など。日本の歴史文献では「煙硝」や「焔硝」は硫黄や炭末を加えた黒色火薬を指すが、加賀藩では「塩硝」と呼ばれ五箇山産の硝石を意味するとされる。
(出典:Wikipedia)
焔
漢検準1級
部首:⽕
11画
硝
常用漢字
中学
部首:⽯
12画
“焔硝”で始まる語句
焔硝樽
焔硝末
焔硝蔵