清貧せいひん)” の例文
昔偉い坊さんたちが「清貧せいひん」の徳を説きましたが、それが深い教えであることを、こういう品物を通してもよく学ぶことが出来ます。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
されば外見よそみには大分限だいぶげんごとくなれど、其實そのじつ清貧せいひんなることをそれがし觀察仕くわんさつつかまつりぬ。此人このひとこそ其身そのみをさまりてよくいへをさまれるにこそさふらはめ、かなら治績ちせきべくとぞんさふらふ
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「経済方面からも先口はないと断定出来る。中学校の校長さんだぜ。清貧せいひんきまっている。一人片付ければ可なり利くから、矢継ぎ早にもう一人って元気は出ない」
勝ち運負け運 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
部下の諸将がつぎつぎに爵位しゃくい封侯ほうこうを得て行くのに、廉潔れんけつな将軍だけは封侯はおろか、終始変わらぬ清貧せいひんに甘んじなければならなかった。最後に彼は大将軍衛青えいせいと衝突した。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
例えば「清貧せいひんあまんずる」ということが道徳上の善であっても、必ずしもそれがすぐ政治上の道義だとはいえない。国民生活をできるだけ豊かにすることが善い政治であろう。
政治学入門 (新字新仮名) / 矢部貞治(著)
如何に零落れいらくなせばとて取戻せしと云れんことも無念むねんなり又是迄年來磨上みがきあげたる武士の魂魄たましひ何ぞ再びへんずる事あらんやかつしても盜泉たうせんの水をのまず熱しても惡木あくぼくかげやどらず君子は清貧せいひん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
播磨はりまの国加古かこうまや丈部はせべもんといふ博士はかせあり。清貧せいひんあまなひて、友とするふみの外は、すべて調度の絮煩わづらはしきいとふ。老母あり。孟氏まうしみさをにゆづらず。常に紡績うみつむぎを事として左門がこころざしを助く。
あはれ欠けざることなき「孤独清貧せいひん」の御霊みたま
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)