はく)” の例文
水滸すいこはくでは、人々、わんわんという出迎えである。それッとばかり、すぐ宋江のいる一閣の病室へ彼を通す。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
戸倉とくらを出立して七里の山路やまじぎ、花咲峠はなさきとうげの険をえて川塲湯原村にきたはくす、此地に於て生死を共にし寝食しんしよくを同じくしたる人夫等十五名と相別あひわかるることとなり、衆皆其忠実ちうじつ冒険ぼうけん
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
前の晩私は九江キュウキャンにとまった。ホテルは即ち大元洋行である。その二階に寝ころびながら、康白情氏こうはくじょうしの詩を読んでいると、潯陽江じんようこうはくした支那の船から、蛇皮線だか何かの音がして来る。
長江游記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
長崎にはくして妓女ぎじょに親しみ、この事を小説につづりて文名を世界にせしめき。もしロッチをして日本帝国の軍人たらしめんか風紀問題は忽ち彼をして軍職を去らしむるに終りしならん。
矢立のちび筆 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
「漂はく——」
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
とまれ、いつか彼はびょうたる水とあしのほとりへ出ていた。それや水滸のはくに近い鴨嘴灘おうしたんとは知るよしもない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
是より水上にいたらば猶斯の如き所おほきやひつせり、此に於て往路をりてかへり、三長沢口にはくし徐計をなすべしと云ひ、あるひただちに此嶮崖けんがいぢて山にのぼり、山脈をつたふて水源にいたらんと云ひ
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
はくの山上一帯は、これを迎えるに、どよめき立って、歓呼をあげ、さらに当夜、また、翌日へかけての、慰労の宴など、お祭り気分に染まったのもまたいうまでもない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
五里の嶮坂けんばん瞬時にくだつくし、戸倉村にいたりて区長松浦方にはくす、戸倉村と云へば世人は之を深山幽谷の人民じんみんとして、ほとんど別天地の如くに見做みなせども、凡そ十日間人影だもざる余等一行は
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)