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母樣
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かゝさま
剥出し是サ此子は
怖い事はない此伯父と一所に
歩行々々と
引摺行を娘はアレ/\
勘忍して下されませ
母樣が待て居ますと
泣詫るを
ヂュリ いゝえ、
母樣、
明日の
式に
相應しい
入用な
品程は
既う
撰出しておきました。それゆゑ、
妾にはお
介意なう、
乳母はお
傍で
夜中お
使ひ
下されませ。
いつぞは
正氣に
復りて
夢のさめたる
如く、
父樣母樣といふ
折のありもやすると
覺束なくも
一日二日と
待たれぬ、
空蝉はからを
見つゝもなぐさめつ、あはれ
門なる
柳に
秋風のおと
聞こえずもがな。
ヂュリ
母さまは
何處にぢゃ?
母樣は
家にぢゃ。
何處に
行かしゃらうぞ?
何を
言やるぞい!「あの
方が
被言るには、
身分のある
殿方らしう、お
母樣は
何處にぢゃ?」
ヂュリ はれま、
母樣、それはまた
何樣な?