母様っかさん)” の例文
旧字:母樣
甚「ヘエ傘の無いのでびしょぬれになりました、うも悪い日和ひよりで、日和癖で時々だしぬけに降出して困ります…エヽお母様っかさん御機嫌よう」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
惣「じいやア、私は和尚様に願い無理にひまを戴いて、兄さんや姉さんの敵が討ちたくって来たが、お父様とっさん母様っかさんの敵は知れました」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
庄「そうでないて事よ、きなよ、おめえもお母様っかさんのお墓参りに往くのなら、紋付の着物であらたまって、香花を手向るのが当前あたりまえじゃねえか」
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
お前おっかさんに心配しんぱいを掛けて、お母様っかさんがお食を勧めるのにお前は何故べない、段々疲れるよ、詰らん事をくよ/\してはいけませんよ
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
前様めえさんがお母様っかさんに逢って斯ういう訳の災難せえなんで取られたと云って、あんたが詫事わびごとをしたら、お母様っかさんも聞かない事もあんめえ
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
角「それには種々いろ/\訳があるが、話はうちへ帰ってからゆっくりしべい、己は沼田の下新田という山国だが、お前さんの実のお母様っかさんは己がうちにいるんだ」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
山「いゝえ見ず知らずの者に馳走になるべきものでは有りませんから、お母様っかさんわたくしと藤の料理代だけは当家こゝへ別に払いをして参ればそれで宜しい」
多「重々じゅう/\済みましねえ事に成りました、どうぞ堪忍して下せえ、お母様っかさん宜く勘弁しておくんなすって有難うがんす、すぐにおうちへ往って御意見を受けます」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
繼「あのお母様っかさん怖いこと、宗慈寺の和尚様が薪割をげて殺して仕舞うってね、怖くって一生懸命に逃げたけれど、く処がないから宗円寺様へ逃込んだの」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
もしお母様っかさん、誠にわたくしは不孝者でございます、おっかさんには早くお別れ申して何一つ御恩も送らず小さい時から御養育をうけました大恩のある一人のおとっさんをすて
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
飯はべてよ…お母様っかさんには釣に出て颶風はやてをくったなどと云うとおっかさんが案じるから云うなよ、西浦賀の江戸屋で御馳走になって泊っているが、明日あしたは早く帰ります
おどろきました伊之助、きょろ/\と両人りょうにんのお若さんを見まわし呆気にとられる。息子の岩次も俄にお母様っかさんが二人出来たのでげすから、これもボーッといたしています。
幸「關善さんへは帰る時話をして、今パッと話すと面倒だから……それから貴方の身の上だけはお母様っかさんにお逢わせ申しますが、お母様っかさま矢張やっぱり東京においででございますか」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
肴も何かい物を取って置くがい…、なに然う泣いて居てはいけない、お父様とっさんが頭を剃って廻国をすると云って行方知れずになり、お母様っかさんも親類もなくお前さん一人に成って
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
文「逢いたいが、お母様っかさんの前であんな荒々しい奴が話をしては、お驚きなさるといけないから、かど立花屋たちばなやつれって往って、酒肴さけさかなを出して待遇もてなしてくれ、己があとからお暇を戴いてくから」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ぐ世間の人に後指さゝれてなんと云われるだろうか、其の時のお前が心持は何うだろう、お前ばかりじゃないよ、お父様とっさん母様っかさんをはじめ縁に繋がるこの己までが世間の口にかゝらんけりゃならんのだ