“母様（かあさま）” の例文
旧字：母樣
飲むものだから、お母様（かあさま）始め皆で申しあげたが、叱られるばかりさ。一番おしまいに安斉先生がお母様から頼まれたそうだ
苦心の学友 (新字新仮名) ／ 佐々木邦(著)
それでも母様（かあさま）私は何処へか行くので御座りませう、あれ彼方（あすこ）に迎ひの車が来てゐまする、とて指さすを見れば軒端（のきば）のもちの木に大いなる蛛（くも）の巣のかかりて
うつせみ (新字旧仮名) ／ 樋口一葉(著)
『母様（かあさま）は面白い人ね、平野さんのお父（とう）さんと話してたのでせう、平野さんぢやない人と話をするなんか。』
六日間：（日記） (新字旧仮名) ／ 与謝野晶子(著)
今ね、御覧なさい、牛込に居る母様（かあさま）から手紙が来て、早瀬さんが静岡へお出（いで）なすって、幸いお知己（ちかづき）になったのなら、精一杯御馳走なさい、と云って来たの。嬉しいわ、私。
婦系図 (新字新仮名) ／ 泉鏡花(著)
従者　（思わず立ち上がり）以前の妻！　と申せば、あの若様のお母様（かあさま）の……。
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) ／ 国枝史郎(著)
友達に向って誰さんコイコイというと叱られる。おいでなさいとかおいでと教えられる。もしや親たちに向って母様（かあさま）コイコイというと大層（たいそう）叱られる。その時はいらっしゃいと言わなければならん。
食道楽：冬の巻 (新字新仮名) ／ 村井弦斎(著)
「富ちやんとこなんかいつちやいけないつてお母様（かあさま）に叱られたから」
銀の匙 (新字旧仮名) ／ 中勘助(著)
（麻利耶（マリヤ）観音（くわんのん）に）お母様（かあさま）！　どうかしてやる訳には参りませんか？
長崎小品 (新字旧仮名) ／ 芥川竜之介(著)
とお母様（かあさま）は言（い）はれて、私（わたし）の顔（かほ）をしみ／″＼情（なさけ）ぶかい眸（ひとみ）でみられた。
桜さく島：見知らぬ世界 (新字旧仮名) ／ 竹久夢二(著)
「母様（かあさま）っ——あっ母様、外へ出てはいけません」
日本名婦伝：静御前 (新字新仮名) ／ 吉川英治(著)
「母様（かあさま）の涙です。」
茶話：02 大正五（一九一六）年 (新字旧仮名) ／ 薄田泣菫(著)
お母様（かあさま）。
痴人と死と (新字新仮名) ／ フーゴー・フォン・ホーフマンスタール(著)
「内藤さん、あなただけで承知くだすっても、こういうことはお母様（かあさま）に得心（とくしん）していただかないと長続きがいたしませんから、私、そのうちに改めてお願いにあがりとうございます」
苦心の学友 (新字新仮名) ／ 佐々木邦(著)
「でも、お鶴（つる）はお祖母様（ばあさん）の手紙（てがみ）を母様（かあさま）にみせたの」
桜さく島：見知らぬ世界 (新字旧仮名) ／ 竹久夢二(著)
「お父様（とうさま）、お母様（かあさま）、どうか勘忍（かんにん）して下さいまし。」
おぎん (新字新仮名) ／ 芥川竜之介(著)
『母様（かあさま）、おかへり。』
帰つてから (新字旧仮名) ／ 与謝野晶子(著)
「奥様からお父様（とうさま）お母様（かあさま）へよろしくとございました。いずれその中またお伺（うかが）いしていろいろとお話し申しあげたいと存じますが、お殿様はご満足でございますから、ご安心くださるようにっておっしゃいました」
苦心の学友 (新字新仮名) ／ 佐々木邦(著)
お母様（かあさま）は、はしたない行（おこな）ひをおしつつむやうに
桜さく島：見知らぬ世界 (新字旧仮名) ／ 竹久夢二(著)
「お母様（かあさま）、少し静かにして頂戴（ちょうだい）。」
春の夜 (新字新仮名) ／ 芥川竜之介(著)