死生しせい)” の例文
それ以来、私は人事不省じんじふせいとなり、全身ところきらわず火傷やけどを負ったまま、翌朝よくちょうまで昏々こんこん死生しせいの間を彷徨ほうこうしていたのである。
荘子そうじ』に曰く、「至人しじんしんなり。大沢だいたくくるもくあたわず。河漢かかんこおれどもこごえしむるあたわず」と。また曰く、「死生しせいはまた大なり。しかるにこれと変ずるを得ず」
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
唐土もろこしの書)此せつむなしからず、越後の雪中にも雪蛆せつじよあり、此虫早春の頃より雪中にしやうじ雪消終きえをはれば虫も消終きえをはる、始終ししゆう死生しせいを雪とおなじうす。字書じしよあんずるに、じよ腐中ふちゆうはへとあれば所謂いはゆる蛆蠅うじばへ也。
幽明ゆうめい物心ぶっしん死生しせい神人しんじんの間をへだつる神秘の一幕いちまくは、容易にかかげぬ所に生活の面白味おもしろみも自由もあって、みだりに之を掲ぐるのむくいすみやかなる死或は盲目である場合があるのではあるまいか。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
而かも其の聖人に及ばざるも亦此に在り。聖人は平生の言動げんどう一として訓に非ざるは無し。而て※するにのぞみて、未だ必しも遺訓をつくらず。死生しせいること眞に晝夜ちうやの如し、ねんくる所無し。
また余が多量の血を一度に失って、死生しせいさかい彷徨ほうこうしていた頃である。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
其のやうをもばやといふを、あるじとどめて、一四瘟病をんびやうは人をあやまつ物と聞ゆるから、家童わらべらもあへてかしこに行かしめず。立ちよりて身を害し給ふことなかれ。左門笑うていふ。一五死生しせいめいあり。