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森然
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しん
ふりがな文庫
“
森然
(
しん
)” の例文
鬼王丸が
喝破
(
かっぱ
)
したので
森然
(
しん
)
と一座は静まったが、宙を舞っている盃は尚グルグルと渦巻きながら、人々の頭上を渡っていたが、突然
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
白く谷川がさらさらと
流
(
ながれ
)
ている。その辺は一面に小石や、砂利で、
森然
(
しん
)
として山に生い茂った木立が
四境
(
あたり
)
を深く
鎖
(
とざ
)
している。
捕われ人
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
塒
(
ねぐら
)
が
足
(
た
)
りない
喧嘩
(
けんくわ
)
なら、
銀杏
(
いてふ
)
の
方
(
はう
)
へ、いくらか
分
(
わか
)
れたら
可
(
よ
)
ささうなものだ。——
然
(
さ
)
うだ、ぽぷらの
樹
(
き
)
ばかりで
騷
(
さわ
)
ぐ。……
銀杏
(
いてふ
)
は
星空
(
ほしぞら
)
に
森然
(
しん
)
として
居
(
ゐ
)
た。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
風も吹かずそよぎもせず、外も内も
森然
(
しん
)
とした
状態
(
たたずまい
)
! 響くものは悲しみの歌ばかり、咽び泣く銀の竪琴の音ばかり、ただ音ばかりでござりました。
レモンの花の咲く丘へ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
四辺
(
あたり
)
は
森然
(
しん
)
と静でした。すると一つの室の中から、如何にも嬉しそうな男女の声が聞えて来たではありませんか。
人間製造
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
家中みんな寝静まったと見えて四辺は
森然
(
しん
)
と静まり返えり時々遠い沙漠の方から豹の吠え声が聞えるだけです。
沙漠の歌:スタンレー探検日記
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
曲輪を抜け
湟
(
ほり
)
を飛び越え、若い一人の侍が、
森然
(
しん
)
と更けた町々を流星のように駈け抜けた時、折悪く道で
邂逅
(
いきあ
)
った人はどんなに驚いたか知れなかったであろう。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
間もなく水狐族の部落へ来たが、
以前
(
このまえ
)
来た時と変わりなく家々は
森然
(
しん
)
と寝静まり、犬の声さえ聞こえない。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その後は
森然
(
しん
)
と物寂しく、何んの音も聞えない。ただ月明に梅花ばかりが白く匂っているばかりである。
高島異誌
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
森然
(
しん
)
と
四辺
(
あたり
)
は物寂しくもちろん
燈火
(
ともしび
)
の影さえもない。三人はしばらく
彳
(
たたず
)
んだまま余りの不思議さに言葉も出ない。彼ら三人は三人ながらこの辺の地理には慣れている。
日置流系図
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
後は
森然
(
しん
)
と静かであった。弥右衛門はじっと耳を澄まして中庭の様子を聞こうとしたが何の物音も聞こえない。そのうち次第に眠くなった。これは毎晩のことである。
日置流系図
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
慇懃な声が消えると一緒に、闇中にほのかに浮いていた男の姿も全く消え、車内も
森然
(
しん
)
と静まった。
沙漠の古都
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
朝の光がキラキラと輝き秋草の乱れた庵室の庭を残る
隈
(
くま
)
なくてらしていて
四辺
(
あたり
)
は
森然
(
しん
)
と静かである。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
間髪を入れず息抜き気合い、エイ! という声がまた掛かった。と四番目の人物は、バッタリ大地へ膝をついた。この間わずかに一分であった。後は
森然
(
しん
)
と静かであった。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ひとしきり
森然
(
しん
)
と静かになる。甚太郎は戸口へ近寄って行った。戸口と平行に位置を取りまた壁へピッタリ身を寄せた。その眼を
屹
(
きっ
)
と戸口へ注ぎ現われる敵を待ち構える。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
騒がしかった境内が一時に
森然
(
しん
)
と静かになった。群集は左右に身を開いてその行列を迎え入れた。行列は粛々と歩いて行く。神殿の前で立ち止まる。ギーと神殿の戸が開く。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
しかし、すぐに、武士は、足から先に、紙帳の中へ引き込まれ、忽ち、断末魔の声が起こり、バーッと、
血飛沫
(
ちしぶき
)
が、紙帳へかかる音がしたが、やがて、
森然
(
しん
)
と静まってしまった。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
後は
森然
(
しん
)
と静かであった。釜で煮え立つ湯の音ばかりが、ただシンシンと聞こえている。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
と、泣叫ぶ声も響いて来たが、両方ながらぷつりと消えて、
森然
(
しん
)
と復もや静になった。すると今度は正面の室から、女の笑う嬉しそうな声が「ホ、ホ、ホ、ホ、」と高く聞えて来た。
人間製造
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ここで老人の声が絶えて、
四辺
(
あたり
)
が
森然
(
しん
)
と静かになった。が、すぐに老人の声がした。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
水はいかにも減じてはいるが、太古のままの夢を
孕
(
はら
)
んで
森然
(
しん
)
と静まり湛えている。
沙漠の古都
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
間もなく彼と橇の影とは吹雪に
紛
(
まぎ
)
れて見えなくなった。
森然
(
しん
)
と後は静かである。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
森然
(
しん
)
と
四辺
(
あたり
)
は静かである。月が雲間に隠れたと見えて木立も家も見分け難い。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
口笛が止むとあやなす声が、こう
密々
(
ひそひそ
)
と聞こえてきた。フッと蝋燭の火が消えた。しばらく
森然
(
しん
)
と静かであった。と、暗い舞台の上へ蒼白い月光が流れ込んで来た。誰か表戸をあけたらしい。
大捕物仙人壺
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ギ——と再び門の締まる陰気な音が響いたが
森然
(
しん
)
とその後は静かになった。
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
神秘に充ち充ちた有様と云うものは……空の光に迷う
梟
(
ふくろ
)
の声、海の波間で閃めく夜光虫、遠い遠い沖の方から、何者とも知れぬ響が
幽
(
かすか
)
に起こり、
暫
(
しばらく
)
して鳴り止みますと、後は
森然
(
しん
)
としています。
レモンの花の咲く丘へ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
森然
(
しん
)
と更けた霊岸島の万崎河岸の向こう側で提灯の火が飛び乱れる。
三甚内
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
疲労
(
つか
)
れた声音で挨拶をしてちりぢりに四方へ散って行く。その後は
森然
(
しん
)
と静まり返り夜業をすると見えてある工場の、二つの窓から火の光が戸外にカッと洩れて来るのさえかえって寂しく思われた。
沙漠の古都
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
森然
(
しん
)
とふけた夜の町を、二人は並んで歩いて行った。
大捕物仙人壺
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
森然
(
しん
)
と更けた夜の館、二人は凝然と突っ立っていた。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
一座にわかに
森然
(
しん
)
となった。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それから
森然
(
しん
)
と静まった。
郷介法師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
家内は
森然
(
しん
)
と静かである。
日置流系図
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
一刹那座敷が
森然
(
しん
)
となる。
三甚内
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
後は
森然
(
しん
)
と静かである。
赤格子九郎右衛門の娘
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
森
常用漢字
小1
部首:⽊
12画
然
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
“森然”で始まる語句
森然森然