根深ねぶか)” の例文
ちり鍋の材料は、大きなほうぼう一尾、槍烏賊やりいか三杯、白菜、根深ねぶか、細切りの蒟蒻こんにゃくなどであったが、これは決して贅を尽くした魚菜とはいえまい。
姫柚子の讃 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
銀杏返いてふがへし引約ひつつめて、本甲蒔絵ほんこうまきゑ挿櫛さしぐし根深ねぶかに、大粒の淡色瑪瑙うすいろめのう金脚きんあし後簪うしろざし堆朱彫ついしゆぼり玉根掛たまねがけをして、びん一髪いつぱつをも乱さず、きはめて快く結ひしたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「いやいや、あのあたりに住む甲源一刀流の人々は、いまだに拙者を根深ねぶかく恨んでいるに相違ない」
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
たれよわりしていに安間平左衞門はそばに居たりしが冷笑あざわら否早いやはや御前の樣に御心弱くては表向おもてむき吟味ぎんみの時は甚だ覺束おぼつかなしすべて物事は根深ねぶかはかり決して面色かほいろに出さぬ樣なさねばならぬ事なり然るを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
蕪村は実際支那へ旅行したことはないので、易水の景色を知っておるわけはないが、日本内地などで見る景色から想像すると、恐らくその易水という川もただの川で根深ねぶかなどが流れているであろう。
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
易水に根深ねぶか流るゝ寒さかな
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
易水えきすい根深ねぶか流るる寒さかな
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
再び充分にたぎらせたならば、塩と醤油で薄く味をつけ、碗に注いで根深ねぶかを細かく刻んで添える。口で吹くほど熱いのが、すっぽんのあつものの至味であろう。
すっぽん (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
易水に根深ねぶか流るゝ寒さかな
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
易水えきすい根深ねぶか流るる寒さかな
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
せいし惣右衞門こともとは御家來に候とも當時は御いとまの出でたる者ゆゑ是非はかくも彼の方へ連退つれのきかくまふと申す程のことなれば渠等かれら根深ねぶかたくみたると相見え候へば勿々なか/\以て容易の儀には參るまじれば何事も此方にて後手ごてならざる樣に表向おもてむき御吟味御請おうけなさるべしと申しければ主税之助は是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)