ぺえ)” の例文
「めっぽう寒いじゃねエか。故国うちにいりや、葱鮪ねぎまで一ぺえてえとこだ。きち、てめえアまたいい物引っかけていやがるじゃねえか」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
だが、よく尋ねて来てくんなすった。まあ、ゆっくりおしなせえ。一ぺえやりながら何かの相談をしようじゃあねえか
「己は一ぺえやらなきゃならねえんだ。面倒な事を控えてるんでね。面倒な事って言えば、あのお医者はどうして己に海図をくれたんだろうな、ジム?」
仙「なにしても目出度めでてえから一ぺえけねえ、しか明日あしたの朝ではお嬢さんが近所へ対して間がわりいだろうから、日暮までにお連れ申すという手紙を先方むこうへ出して置こう」
そんでも先刻さつきはがや/\一ぺえるやうだつけがあつちぢやうめものあつて爺等ぢいらとつけえしとつたんべなあ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
うして御座ごぜえ。唯、巣子すごの掛茶屋さ行つたら、盛切酒もつきりざけぺえ買ふだアぜ。』
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
お茶漬け一ぺえ
ぺえ貰えてえんだ。己ぁこの子がとても気に入ったのだ。それから、どうか掛けてくんねえ。昔の船友達らしく、ざっくばらんに話すとしようじゃねえか。
弟でも小さいうちから育ったから子を見たような心持がして、やれこれ云えば増長しやアがって、世間へ顔向けの出来んような事を云やアがって、腹一ぺえくらい酔やアがって
「どうしたんでえまあ一ぺえやらつせえね」とばあさんはさら卯平うへい茶碗ちやわんきつけた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ところで、ねえ、己は今このようにずいぶ弱ってるし、だれも構っちゃくれねえ。で、ジム、お前己にラムを一ぺえ持って来ておくれ。なあ、くれるだろ、え?
親父がびっくりして死ぬだろうとおろ/\泣いていると、その落る涙が己の額へポタリ/\あたったので、あゝ気の毒な人だ、己も腹一ぺえ親に苦労をさせたが、此の人はさぞマア困るだろうと思って
「おつけなにらねえから一ぺえんべ」卯平うへい遲緩もどかさうにいつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
仙「これは誠に少ねえんだが縁起直しに上げるから一ぺえ遣っておくれ」