末席ばつせき)” の例文
その椅子いすは戸口に一等近く、まはりには最年少の子供たちが集つてゐた。私はこの下級に加へられて、その末席ばつせきに坐らせられた。
しかるに御老職ごらうしよく末席ばつせきなる恩田杢殿方おんだもくどのかた一家内いつかないをさまり、妻女さいぢよていに、子息しそくかうに、奴婢ぬひともがらみなちうに、陶然たうぜんとして無事ぶじなることあたか元日ぐわんじつごとくらされさふらふ
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
中にも坂本鉉之助げんのすけ鉄砲方てつぱうかたになつて、目見以上めみえいじやう末席ばつせきに進められた。併し両町奉行には賞与がなかつた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
自分が抑々そもそも生れて初めて教鞭をとつて、此校の職員室に末席ばつせきけがすやうになつての一週間目、生徒の希望を容れて、といふよりはむしろ自分の方が生徒以上に希望して開いたので
雲は天才である (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
りて倩々つく/″\あんずるに、國許くにもとさふらふ恩田杢おんだもく申者まをすもの老職らうしよく末席ばつせきにて年少ねんせうなれど、きつと器量きりやうあるものにつき、國家こくか政道せいだうげてまかまをさむとぞんずるが、それがしかれ若年じやくねんなれば譜代ふだい重役ぢうやくをはじめ家中かちうものども
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)