時服じふく)” の例文
秀吉はこの少年使者がよほど気にいったとみえ、その夜は大坂城に泊めて馳走し、翌日、時服じふくと刀を与えて、郷里へ帰した。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
当主がみずから臨場して、まず先代の位牌に焼香し、ついで殉死者十九人の位牌に焼香する。それから殉死者遺族が許されて焼香する、同時に御紋附上下かみしも、同時服じふくを拝領する。
阿部一族 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
あけの七つから一門、譜代ふだい大名、三千石以上の諸役人が続々と年始の拝礼に参上して、太刀たち目録を献上する。大中納言、参議中将、五位の諸太夫等には時服じふくりょうずつ下し置かれる。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
十二月十五日に、柴田外記げき、片倉小十郎、津田玄蕃げんばらが登城、それぞれ太刀、銀馬代、時服じふくを献上し、白書院にて将軍に謁した。甲斐はこの記事を消し、次つぎと三項目を消した。
吟味聞役ぎんみききやくは、佐田遠江守さたとおとおみのかみ。審判役は手前があいつとめる。対決終了いたさば、石庵がお鶴の腑分ふわけをなし、両人吟味の実証をいたす。……勝をとったほうには、奉行へご褒美として時服じふくひとかさね
顎十郎捕物帳:09 丹頂の鶴 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
くだしおかれたり率御着用有りて然るべしとのべければ伊賀亮呵々から/\わら貴僧きそう御芳志ごはうしかたじけなけれど未だ御對面もなき中に時服じふく頂戴ちやうだいするいはれなし又拙者が粗服そふくで御對面なされ難くば夫迄の事なりおして拙者より奉公は願ひ申さずと斷然きつぱり言放いひはなし立上るいきほひに常樂院は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「うん。……なるほど、あれくらいな侍はめったにはなかろう。時服じふく、黄金など与えて、鄭重に、領外へ送り出すがよい」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
総奉行 茂庭周防すおう 白銀百枚、時服じふく十。
「そうです」と、王は得意になって「はんにして二十四班、五千八百人の官吏に洩れなく、天子さまからお祝として、時服じふく一トかさねと、この翠葉金花すいようきんかかざしが一本ずつ下賜されます」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、黄金二枚に、時服じふくなど与えて、以後、自分の茶堂ちゃどう召抱めしかかえた。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)