旗色はたいろ)” の例文
なんでもだい奉直戰爭ほうちよくせんさうときなどは自分じぶんはう旗色はたいろがよかつたせゐもあつただらうが、戰線せんせんのことは部下任ぶかまかせにしていて
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
それでもやはり私の旗色はたいろは呆れる程に悪く、やりきれず、遂には、その井の頭公園の池のほとりの茶店に案内するという段取りになるのであった。
乞食学生 (新字新仮名) / 太宰治(著)
だんだん旗色はたいろがわるくなるが、どこで盛り返したものか、いったん機先を制せられると、なかなかすきを見出しにくい。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「何より、士気に関するのは、阿波殿のお体で——よかれ悪しかれ味方の旗色はたいろにすぐ響いてまいりますからな」
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
わたくしちち旗色はたいろわる南朝方なんちょうがたのもので、したがってわたくしどもは生前せいぜん随分ずいぶん数々かずかず苦労くろう辛酸しんさんめました……。
追々おいおい旗色はたいろが悪くなって来るようだから退却としよう。もうソロソロ杉山さんが見える時分だ」
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
ちょうどいちばんちいさい牛若うしわかまれたばかりのとき、源氏げんじ旗色はたいろわるくなりました。義朝よしともけて、方々ほうぼうげかくれているうちに、家来けらい長田忠致おさだのただむねというものにころされました。
牛若と弁慶 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
いくら博士が強くても、だんだん、旗色はたいろがわるくなってきました。
超人ニコラ (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
旗色はたいろがよくないと見えて、お粂は札を手にするたびに、眉をひそめたり、じれたりしている。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おや/\、益〻旗色はたいろが悪いですな」
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)