斷々きれ/″\)” の例文
新字:断々
其麽そんな筈はないと自分で制しながらも、斷々きれ/″\に、信吾が此女を莫迦ばかに讃めてゐた事、自分がそれを兎や角冷かした事を思出してゐたが、腰を掛けるを切懸きつかけ
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
げたこしちあへず、いしうづくまつた。くされ、れて、樹蔭こかげつき斷々きれ/″\に、ほねくだいてらしたれば、片輪車かたわぐるまかげたふして、輪𢌞りんねすごゑがけるさま
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
私に近く坐つてゐたルヰザ・イィシュトンとメァリー・イングラムとの話が時々聞えて來る斷々きれ/″\の文句とこんがらかつてしまつた。その最後のものは新來の客の事を話し合つてゐるのであつた。
あれほど、おやさしい渡どのに、分れまゐらせることを考へると、はらわた斷々きれ/″\になるやうに悲しい。でも、夫の身に代つて、死ぬることを考へると、それは悲しみの裡の欣びぢや。最愛の夫の命に換る。
袈裟の良人 (旧字旧仮名) / 菊池寛(著)
今日は何か初めての曲を彈くのだと見えて、同じところを斷々きれ/″\に何度も繰返してるのが聞えた。
葉書 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
ト、一日手を離さぬので筆が仇敵かたきの樣になつてるから、手紙一本書く氣もしなければ、ほんなど見ようとも思はぬ。凝然ぢつとして洋燈ランプの火を見つめて居ると、斷々きれ/″\な事が雜然ごつちやになつて心を掠める。
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)