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掙
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もが
ふりがな文庫
“
掙
(
もが
)” の例文
あッと抜くと、右の方がざくりと潜る。わあと
掙
(
もが
)
きに掙く、
檜木笠
(
ひのきがさ
)
を、高浪が横なぐりに
撲
(
なぐ
)
りつけて、ヒイと引く息に潮を浴びせた。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
容体がさも、ものありげで、鶴の一声という
趣
(
おもむき
)
。
掙
(
もが
)
き騒いで呼立てない、非凡の見識おのずから
顕
(
あらわ
)
れて、
裡
(
うち
)
の面白さが
思遣
(
おもいや
)
られる。
革鞄の怪
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
押えられて、手を
突込
(
つっこ
)
んだから、脚をばったのように、いや、ずんぐりだから、
蟋蟀
(
こおろぎ
)
のように
掙
(
もが
)
いて、頭で
臼
(
うす
)
を
搗
(
つ
)
いていた。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
綾子はまた膝を折りて端坐しつ、
潸然
(
さんぜん
)
と泣出だしぬ、たちまちきゃっと絶叫して、転げ廻りつ
苦
(
くるし
)
み
掙
(
もが
)
き
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
買いたるは手品師にて、
観世物
(
みせもの
)
の
磔
(
はりつけ
)
にするなりき。
身体
(
からだ
)
は利かでも
可
(
よ
)
し、
槍
(
やり
)
にて突く時、手と足
掙
(
もが
)
きて、
苦
(
あ
)
と苦痛の声絞らするまでなれば。これにぞ銀六の泣きしなる。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
と
唸
(
うな
)
って、足をばたばたと
掙
(
もが
)
く
状
(
さま
)
を、苦笑いで、
睨
(
ね
)
めつけながら、手繰って手元へドン、と引くと、
凧
(
たこ
)
かと見えて面くらう、自分よりは上背も幅もあるのを、糸目を取って絞った形。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ずきりずきりと脈を打っちゃあ血が
湧
(
わ
)
くのが
肝
(
きも
)
にこたえるって
掙
(
もが
)
いてね、
真蒼
(
まっさお
)
です。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何も聞かない
振
(
ふり
)
をして、
蛙
(
かわず
)
が手を
掙
(
もが
)
くがごとく、指で
捜
(
さぐ
)
りながら、松の枝に提灯を釣すと、謙斎が
饒舌
(
しゃべ
)
った約束のごとく、そのまま、しょぼんと、根に
踞
(
かが
)
んで、つくばい
立
(
だち
)
の膝の上へ
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
またどうも
呻吟
(
うめ
)
くのが、魘されるのとは様子が違って、
苦
(
くるし
)
み
掙
(
もが
)
くといった調子だ……さ、その
同一
(
おなじ
)
苦み掙くというにも、
種々
(
いろいろ
)
ありますが、訳は分らず、しかもその
苦悩
(
くるしみ
)
が容易じゃない。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
掙
(
もが
)
いて
解
(
ほど
)
くと、道の上へ、お夏の胸は弓なりに
反
(
そ
)
ったが、梅岡に支えられた。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そのまま
等閑
(
なおざり
)
にすべき義理ではないのに、主人にも、女にも、あの
羅
(
うすもの
)
の
償
(
つぐない
)
をする用意なしには、忍んでも逢ってはならないと思うのに、あせって
掙
(
もが
)
いても、半月や一月でその
金子
(
かね
)
は出来なかった。
第二菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
細く白き手を
掙
(
もが
)
きて、その一条を
掻掴
(
かいつか
)
み、アと云いさま投げ棄てつ。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と急所を取って突廻せば、鉄蔵は虫の
呼吸
(
いき
)
、「
姉
(
あね
)
え、御免ねえ、
苦
(
あ
)
、
苦
(
あ
)
、放してくんねえてば、苦しい、むむ。」と苦み
掙
(
もが
)
くを煙管の乱打、「死ぬる死ぬる。」と
呻
(
うめ
)
き叫ぶを殺しかねざる気色なり。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
掙
部首:⼿
11画
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掙了
掙人