拒絶きょぜつ)” の例文
今日は、病菌がすこし大がかりに持ちこまれるというにすぎないんだ。むろん、大がかりな病菌の持ち込みは、できれば拒絶きょぜつするにこしたことはない。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
チェリーは拒絶きょぜつされると、もう我慢しきれなくなった。どうしてもあの薬を手に入れなければならなかった。暴力に訴えても、たとえ殺人をしても……。
ゴールデン・バット事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
都をたつ時あなたがたにことづかった物があった。故郷こきょうからの迎えの使いを拒絶きょぜつするほどのあなたがたに、たいした用はないかもしれんが。(家来に)かの品を。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
たといこれを拒絶きょぜつするも真実しんじつ国と国との開戦かいせんいたらざるは請合うけあいなりとてしきりに拒絶論きょぜつろんとなえたれども、幕府の当局者は彼の権幕けんまく恐怖きょうふしてただち償金しょうきんはらわたしたり。
どんなものか食べてみたいと母にいったとき、母はそんなものはいけませんと拒絶きょぜつした。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
かれはその病院びょういんに二イワン、デミトリチをたずねたのであるがイワン、デミトリチは二ながら非常ひじょう興奮こうふんして、激昂げきこうしていた様子ようすで、饒舌しゃべることはもうきたとってかれ拒絶きょぜつする。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「ミスター・アカバネは先生に失礼を申上げたのでありません。アカベーンの実例じつれいをお目にかけたのです。元来がんらいアカベーンは人に拒絶きょぜつを与える時の表情でありまして、極く親愛の間柄に用います」
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
そこで巡査じゅんさが立ちのいてくれと言うと、かれはそれを拒絶きょぜつした。
ぼくは、道江の一生の幸福のために、婚約拒絶きょぜつについて、君の再考を祈ってやまない。それは同時に君自身の幸福のためでもある、とぼくは信ずるのだ。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
なんという惨酷な命令だろうと、蜂矢は、この命令を拒絶きょぜつしようと考えたが、ちょっと待った、なるほどそれにしてはおかしい額ぎわの皮のまくれ工合ぐあいだ。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
一個人の殺害さつがいせられたるために三十五万ドルの金額を要求するごとき不法ふほう沙汰さたいまだかつて聞かざるところなり、砲撃ほうげき云々うんぬんは全く虚喝きょかつぎざれば断じてその要求を拒絶きょぜつすべし
「いやよ、私いやよ」と文子は顔をまっかにして拒絶きょぜつした。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
次郎は、田沼先生が、二月二十六日の事変後に組織された内閣ないかくに入閣の交渉こうしょうをうけたのを、即座そくざ拒絶きょぜつした、という新聞記事を見たのをふと思いおこした。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
「いえ、それには及びません」大江山捜査課長は、泣きだしたいような気持をこらえて、断然だんぜん拒絶きょぜつした。
省線電車の射撃手 (新字新仮名) / 海野十三(著)
私は園長から相当の責任を持って爬虫類を預っているのですから、拒絶きょぜつする権利があります。
爬虫館事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)