押並おしなら)” の例文
旧字:押竝
あきなひ未だ東西も知らぬ土地なれども櫛笄簪くしかうがひ脊負せおひ歩行あるくに名におふ大都會なれば日本一のまづしき人もあればまたならびなき金滿家かねもちもありて大名も棒手振ぼうてぶり押並おしならんで歩行あるく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
き立てられ、急ぎ本堂へ直りますると、かれこれ坊主の四五十人も押並おしならび、いとねんごろなる法事供養をいたし、施餓鬼せがきをいたしまする内に、もはや日は西山せいざんに傾く事になりましたゆえ
それを単なる昔話の列に押並おしならべて、空想豊かなる好事家こうずかが、勝手な尾鰭おひれ附添つきそえたかのごとく解することは、少なくとも私が集めてみたいくつかの旁証ぼうしょうが、断じてこれを許さないのである。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
言問こととひ曲角まがりかどで、天道てんだうか、また一組ひとくみこれまた念入ねんいりな、旦那樣だんなさま洋服やうふく高帽子たかばうしで、して若樣わかさまをおあそばし、奧樣おくさま深張ふかばり蝙蝠傘かうもりがさすまして押並おしならあとから、はれやれおひとがついてぶらなり。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)