我名わがな)” の例文
カピューレットどの、わしいまカピューレットといふその名前なまへ我名わがな同樣どうやう大切たいせつおもうてゐる、まゝ、堪忍かんにんさっしゃれ。
諸侯方しよこうがたまで御出おいでになり、わづかのうちに新梅屋敷しんうめやしきの名、江都中えどぢうに知られ、それのみならず先生々々せんせい/\たてこがしに、七草考なゝくさかう都鳥考みやこどりかうのと人に作らせて、我名わがなにて出版せしゆゑ
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
落人おちうどそれならで、そよと鳴る風鈴も、人は昼寝の夢にさへ、我名わがなを呼んで、讃美し、歎賞する、微妙なる音響、と聞えて、其の都度つど、ハツと隠れ忍んで、微笑ほほえみ/\通ると思へ。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それのみにてもれは生涯しやうがい大事だいじにかけねばなるまじきひと不足ふそくらしき素振そぶりのありしか、れはらねどもあらばなんとせん、果敢はかなき樓閣ろうかく空中くうちゆうゑがとき、うるさしや我名わがな呼聲よびごゑそで
軒もる月 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
現に今日はコロクと鳴くからすも少なく、カケロとうたう鶏などは探してもいないのである。都の時鳥もヘドトギスの狂歌の出来た頃までは、まだ南九州のごとく克明に我名わがなを啼いていたかも知らぬ。
大空おおぞら我名わがなをしるしとどめむものと
けばねつつよきときはたえず我名わがな
闇桜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)