成佛じやうぶつ)” の例文
新字:成仏
見性けんしやうしたに、うれしさのあまり、うらやまあがつて、草木さうもく國土こくど悉皆しつかい成佛じやうぶつおほきなこゑしてさけんだ。さうしてつひあたまつてしまつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
たかの羽は少し蟲喰ひになつて居るが、こいつは間違ひもなく眞矢ですぜ。まともに喉笛に突つ立つと、大の男が手もなく成佛じやうぶつ
殺す時機じき因果いんぐわづくだが斷念あきらめて成佛じやうぶつしやれお安殿と又切付れば手を合せどうでも私を殺すのか二人の娘にあふまではしにともないぞや/\と刄にすがるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
お前はお前で、夫のために身を捨てたと思ふて、成佛じやうぶつするだらう。が、殘された俺は、何うするのぢや。最愛の妻は、奪はれ、人生は荒野のやうに寂しくなるのぢや。俺は、何處で救はれるのぢや。
袈裟の良人 (旧字旧仮名) / 菊池寛(著)
生きてゐる人々が遺言を守つてくれないので、お墓の中で成佛じやうぶつ出來ないでゐる死んだ人が僞善者を罰し、しひたげられた者に代つて、復讐する爲めに、再びこの世にやつて來ると云ふ話を思ひ出してゐた。
はな成佛じやうぶつ得度とくどなすともいふ何樣なにさま善惡ぜんあく相半あひなかばすべし偖も源八は彼の與八に暇のいでたるは我故なり今は云寄いひよる手蔓てづるもなく成りしかば通仙夫婦の者に遺恨ゐこんはらさばやと思ひてひそか鹿しか
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)