トップ
>
愛執
>
あいしゅう
ふりがな文庫
“
愛執
(
あいしゅう
)” の例文
「
青山
(
せいざん
)
愛執
(
あいしゅう
)
の色に塗られ、」「
緑水
(
りょくすい
)
、
非怨
(
ひえん
)
の糸を永く
曳
(
ひ
)
く」などという古人の詩を見ても人間現象の姿を、むしろ現象界で確捕出来ず
所詮
(
しょせん
)
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
屍体
(
したい
)
の肌は、もう
葡萄色
(
ぶどういろ
)
になっていた。わしは、わしの
愛執
(
あいしゅう
)
のために、
老母
(
おふくろ
)
のそうした醜い顔をいつまでもこの世に
曝
(
さら
)
しておくのを罪深く思った。
茶漬三略
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
五条
京極
(
きょうごく
)
に
荻原新之丞
(
おぎわらしんのじょう
)
と云う、近き
比
(
ころ
)
妻に
後
(
おく
)
れて
愛執
(
あいしゅう
)
の涙
袖
(
そで
)
に余っている男があって、それが七月十五日の
精霊祭
(
しょうりょうまつり
)
をやっている晩、
門口
(
かどぐち
)
にたたずんでいると
牡丹灯籠 牡丹灯記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
愈々
(
いよいよ
)
影法師の仕業に定まったるか、エヽ
腹立
(
はらだた
)
し、我
最早
(
もはや
)
すっきりと思い断ちて
煩悩
(
ぼんのう
)
愛執
(
あいしゅう
)
一切
棄
(
すつ
)
べしと、胸には
決定
(
けつじょう
)
しながら、
尚
(
なお
)
一分
(
いちぶん
)
の未練残りて
可愛
(
かわゆ
)
ければこそ
睨
(
にら
)
みつむる彫像、
此時
(
このとき
)
雲収り
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
しかし過去に無感覚な表情しか
有
(
も
)
たない島田の顔は、何事も覚えていないように鈍かった。昔の
憎悪
(
ぞうお
)
、古い
愛執
(
あいしゅう
)
、そんなものは当時の金と共に彼の心から消え失せてしまったとしか思われなかった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
そして、前へゆく弦之丞の後ろ姿に、磁力のような
愛執
(
あいしゅう
)
を感じながら、足も心もその人へ引きずられて行く見返りお綱。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と——不意に、お綱は自身から、悲嘆や
愛執
(
あいしゅう
)
や、すべての情感を切り破って出るように
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
子をたずねる
愛執
(
あいしゅう
)
の
闇
(
やみ
)
、生みのわが子をさがしあるく
母性
(
ぼせい
)
のまよいに、ふしぎな
錯覚
(
さっかく
)
を起しているお
時
(
とき
)
は、相手のはにかみにも気がつかず、ただ(もしやこの子が)と思う
一途
(
いちず
)
に
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
亀次郎は、いつもの獄医とちがうせいか、それとも、実はやはり
生命
(
いのち
)
の
愛執
(
あいしゅう
)
がさせるのか、急に、子どものように素直になって、脈を診させ、胸も背も、足のうらまで、診察させた。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
生ける間は、人間から憎悪や
愛執
(
あいしゅう
)
は除けない。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“愛執”の意味
《名詞》
愛執(あいしゅう)
(もとは仏教語)あるものを、いつくしんで執着すること。悟りの妨げとされる。
(出典:Wiktionary)
愛
常用漢字
小4
部首:⼼
13画
執
常用漢字
中学
部首:⼟
11画
“愛”で始まる語句
愛
愛嬌
愛想
愛撫
愛宕
愛惜
愛宕山
愛相
愛憎
愛娘