そう)” の例文
「先日お話しした例の四篇めでぴたりと行詰っちゃいましてね、どうにもそうが動かない、てんで筋の運びがつかなくなってるんです」
新潮記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
さもあらばあれ、われこの翁をおもう時は遠き笛のききて故郷ふるさと恋うる旅人のこころ、動きつ、またはそう高き詩の一節読みわりて限りなき大空をあおぐがごとき心地す
源おじ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
豐島さんの至極しごくち着いた瞑そうてきり、里見さんは持てんはたしか四十てんで、まあ十れうつけ出しといつたかくだが、時々じつに鋭い、じつにこまかいたまり方を見せる。
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
昔しの人はそうこそ無上むじょうなれと説いた。く水は日夜を捨てざるを、いたずらに真と書き、真と書いて、去る波の今書いた真を今せて杳然ようぜんと去るを思わぬが世の常である。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
慈円は、筆をとって、はや、そうのできた和歌うたを、さらさらと書いていた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まどのすぐ外に、枯草にりよく草がまじつた土堤がつゞいてゐる、それがすばらしい速さで、せんをひきながらうしろへながれてゐる、かういふ風にあの時道の白さが足の下をながれてゐたと金太郎はすぐ聯そうした。
坂道 (旧字旧仮名) / 新美南吉(著)