トップ
>
悄気
>
しよげ
ふりがな文庫
“
悄気
(
しよげ
)” の例文
旧字:
悄氣
僕の反問にあふと、見るも気の毒なほど
悄気
(
しよげ
)
返つたのですね。然しやがて語りはじめたのです。私も実は三十五歳になるのです。
吹雪物語:――夢と知性――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
その
家
(
うち
)
の
女房
(
かみさん
)
が芝居の
八百蔵
(
やほざう
)
が大の
贔屓
(
ひいき
)
だつたが、その頃不入続きで
悄気
(
しよげ
)
てゐると、狸は「八百蔵
大
(
おほ
)
へいこ」と書いて済ましてゐたさうだ。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
栗原は
悄気
(
しよげ
)
てゐた。彼は逢ふたびに元気がなく、
憔悴
(
せうすゐ
)
して行くやうだ。おちつきもなく何かに脅えた臆病な眼色をしてぼそぼそとものを云ふ。
現代詩
(新字旧仮名)
/
武田麟太郎
(著)
彼はそんなことで
悄気
(
しよげ
)
るやうな性質でもなかつたので、ほんの路傍の挨拶だけで別れると、さつさと上手に歩いて行つた。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
恁
(
こ
)
う、
嘴
(
はし
)
を伏せ、
翼
(
はね
)
をすぼめ、あとじさりに、目を据ゑつゝ、あはれに
悄気
(
しよげ
)
て、ホ、と寂しく、ホと弱く、ポポーと真昼の夢に
魘
(
うな
)
されたやうに鳴く。
玉川の草
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
併し私は矢つ張り、女の人に相手を申し込む時、鳥渡でも
厭
(
いや
)
な顔をされると、すつかり
悄気
(
しよげ
)
て了ふのが常だつた。
私の社交ダンス
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
それだのに何としたか意久地なしの
霊魂
(
たましひ
)
がまたトスカ的に
滅入
(
めい
)
り込む、気が
悄気
(
しよげ
)
る。ポロポロと涙が
零
(
こぼ
)
れる。
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
『それがさ。』老人は急に
悄気
(
しよげ
)
た顔付をして若い教師を見た。それから其の眼を雀部の髯面に移した。
道
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
予の船が出帆した時の心持ちは本当に『坊つちやん』の遺蹟に袂別するやうな気がして甲板の上で
悄気
(
しよげ
)
てた。切りに自分で苦笑して見るが気持ちは矢つ張り消せなんだ。
坊つちやん「遺蹟めぐり」
(新字旧仮名)
/
岡本一平
(著)
「兎に角、ヒドく
悄気
(
しよげ
)
てゐたことは、事実なんだ。誰かに、失恋したのかも知れない。が、彼奴の事だから誰にも打ち明けないし、相手の見当は、サツパリ付かないね。」
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
「あのキユウピツドは
悄気
(
しよげ
)
てゐますね。舞台監督にでも叱られたやうですね。」
野人生計事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
三輪 どうしたい、そんなに
悄気
(
しよげ
)
ちや、駄目だよ。
屋上庭園
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
厭に
悄気
(
しよげ
)
てゐるンだね。元気を
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
『いやに
悄気
(
しよげ
)
てるね?』
島からの帰途
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
その翌日私のところへ牧野さんから電話がきて、すぐ遊びに来てくれないかと言ふので駆けつけると、彼はひどく
悄気
(
しよげ
)
てゐた。
牧野さんの死
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
ある朝の事、軍曹は
洋袴
(
ヅボン
)
の隠しに両手を
挿
(
さ
)
し込んだ儘、妙に
悄気
(
しよげ
)
た顔をして入つて来た。それを見た俘虜の一
人
(
にん
)
が訊いた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
草が戦ぐ、また意久地なしの
霊魂
(
たましひ
)
が滅入つて了ふ。
悄気
(
しよげ
)
る、
鬱
(
ふさ
)
ぐ……涙がホロホロと頬つぺたを流れる。
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
其後二度許り竹山を訪ねて来たが、一度はモウ節季近い
凩
(
こがらし
)
の吹き荒れて、灰色の雲が低く軒を掠めて飛ぶ不快な日で、野村は「患者が一人も来ない。」と云つて
悄気
(
しよげ
)
返つて居た。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
百姓はやはり百姓をしろ、と云はれて、房一はすつかり
悄気
(
しよげ
)
て、その晩はそこで泊めて貰つたが、翌朝になると、一通の手紙を示して、これを持つて町の弁護士の所へ行つてみろ、と云つた。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
彼はスツカリ
悄気
(
しよげ
)
てしまつて居た。
我鬼
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
爺さんは、
寡婦
(
ごけ
)
さんのすげない返事が悲しいと言つて、心の臓が干葡萄のやうに
萎
(
しな
)
びるまで
悄気
(
しよげ
)
きつてゐたが、とうと
身体
(
からだ
)
を悪くして死んでしまつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
と、反対派の代議士は、自分達の議席で鼠のやうに小さくなつて
悄気
(
しよげ
)
てゐたものだ。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
すると、一たん
悄気
(
しよげ
)
かへつた
青楼
(
ちやや
)
の主人の顔はまた晴々しくなつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
と
甚
(
ひど
)
く
悄気
(
しよげ
)
かへつたものださうだ。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
と
甚
(
ひど
)
く
悄気
(
しよげ
)
てゐたさうだ。
飲酒家
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
と
甚
(
ひど
)
く
悄気
(
しよげ
)
てゐたさうだ。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
悄
漢検1級
部首:⼼
10画
気
常用漢字
小1
部首:⽓
6画
“悄気”で始まる語句
悄気返
悄気切
悄気方