トップ
>
性急
>
せつかち
ふりがな文庫
“
性急
(
せつかち
)” の例文
言ふ迄もなく掌面には米粒を蒔いておくのだが、これには
性急
(
せつかち
)
が何よりも禁物で、どんなに早くても四時間はかゝると言つてゐる。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
まあ!
貴君
(
あなた
)
も、
性急
(
せつかち
)
ですのねえ。
妾
(
わたくし
)
達には約婚時代といふものが、なかつたのですもの。もつと、かうして楽しみたいと思ひますもの。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
遽
(
にはか
)
にトラックの響きがして、やがて前に止まつた。
性急
(
せつかち
)
な父の声もした。晴代はぎよつとしたが、もう追つかなかつた。
のらもの
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
以上は餘り不謹愼な比較では有るが、然し若しも此樣な相違が有るとするならば、無政府主義者とは畢竟「最も
性急
(
せつかち
)
なる理想家」の
謂
(
いひ
)
でなければならぬ。
所謂今度の事:林中の鳥
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
岩野の中から私はあの
性急
(
せつかち
)
と正直さとをさがし出した。あのわが儘をさがし出した。馬鹿正直と言はれても平気で出て行つたその男らしさをさがし出した。
閑談
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
▼ もっと見る
樽野達はB村へ行く途中の街道で、大型の写真機をかついでわき目も触れずに歩いて来る
性急
(
せつかち
)
な青野に遇つた。彼は、樽野の「観測台」へ赴くところだつた。
鶴がゐた家
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
その
性急
(
せつかち
)
なことは、鍋に仕掛けた芋でも人參でも十分煮えるのを待つて居られないといふ程でした。
幼き日:(ある婦人に与ふる手紙)
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「十二時だつて好いさ、
神楽坂
(
かぐらざか
)
にや起きてる家がある。」と
性急
(
せつかち
)
に帽子を取つて立たうとする。
茗荷畠
(新字旧仮名)
/
真山青果
(著)
昔の
氣紛
(
きまぐ
)
れで(彼のやうな
性急
(
せつかち
)
な、我儘な性質のものにはよくある缺點だ)、彼が、弱點を掴まれてしまふやうな
破目
(
はめ
)
に落ち、今更、ふり拂ふことも、無視することも出來なくなつてゐて
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
「ギーイコ、バツタリ」と
織
(
を
)
つてをりますが、
性急
(
せつかち
)
な
娘
(
むすめ
)
つ
子
(
こ
)
は
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
「それからどうしたんです。」と、私は少し
性急
(
せつかち
)
に問うた。
ごりがん
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
そのあとの空白を、
粉雪
(
こなゆき
)
が
性急
(
せつかち
)
にやつてきて埋めつくす…
雪
(新字旧仮名)
/
高祖保
(著)
春葉氏は蘆花氏と違つて、別段子芋の出来るのを厭がらなかつたが、
性急
(
せつかち
)
な小芋は味の出るまで親の
側
(
そば
)
で辛抱出来なかつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ふと、大きな二階の五十畳敷位の広間に大勢人が居流れて、誰か冴えた
性急
(
せつかち
)
な声で演説をしてゐるのが聞える。
百日紅
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
モ少し何とか優しい事を云つてからでなくちやならん筈だ。餘り
性急
(
せつかち
)
にやつたから惡い。それに今夜は俺が醉つて居た。醉つた上の惡戲と許り思つたのかも知れぬ。
病院の窓
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「B——考へて呉れ。」と、悲しさうに
性急
(
せつかち
)
に述べた。
昔の歌留多
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
彼の昔からの
性急
(
せつかち
)
さが出て來た。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
モ少し何とか優しい事を云つてからでなくちやならん筈だ。余り
性急
(
せつかち
)
にやつたから悪い。それに今夜は俺が酔つて居た。酔つた上の
悪戯
(
いたづら
)
と許り思つたのかも知れぬ。
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
現に
先日
(
こなひだ
)
も銀座のある停留場で終電車を待つてゐた事があつた。無学で
加之
(
おまけ
)
に
性急
(
せつかち
)
な終電車は、さういふ信者が夜中の街に立つてゐようと知る筈もなく、小躍りして停留場を素通りした。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「市ちゃんも仲々腕が上つた」とか、「今の若い者は、春秋に富んで居る癖に惚れ方が
性急
(
せつかち
)
だ」とか、「橘さんも隅に置けぬ」とか、一座は色めき立つて
囂々
(
がや/\
)
と騷ので、市子は
菊池君
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
客を座敷に通すと、宮嶋氏は
性急
(
せつかち
)
に訊いた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「市ちやんも仲々腕が上つた」とか、「今の若い者は、春秋に富んで居る癖に惚れ方が
性急
(
せつかち
)
だ」とか、「橘さんも隅には置けぬ」とか、一座は色めき立つて
囂々
(
わやわや
)
と騒ぐので、市子は
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
随分
性急
(
せつかち
)
に申込んで来て、兎も角も信吾が帰つてからと返事して置いたのが、既に一月、
怎
(
ど
)
うしたのか
其儘
(
そのまま
)
になつて、何の音沙汰もない、自然、家でも忘られた様な
形勢
(
かたち
)
になつてゐた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
“性急”の意味
《名詞・形容動詞》
せっかちなこと。気が短いこと。また、そのさま。
物事の進みが急でゆとりのないこと。また、そのさま。
(出典:Wiktionary)
性
常用漢字
小5
部首:⼼
8画
急
常用漢字
小3
部首:⼼
9画
“性”で始まる語句
性
性質
性根
性分
性懲
性来
性悪
性癖
性情
性來