後朝きぬ/″\)” の例文
清水しみづ清水しやうづ。——かつら清水しやうづ手拭てぬぐひひろた、とうたふ。山中やまなか湯女ゆな後朝きぬ/″\なまめかし。清水しやうづまできやくおくりたるもののよし。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
しめしは江戸四宿の内只此品川のみ然れば遊客いうきやくしたがつて多く彼の吉原にもをさ/\おとらず殊更ことさら此地は海にのぞみてあかつきの他所ほかよりも早けれど客人まろうど後朝きぬ/″\
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
参議藤原玄上はるかみの女子で、皇太子保明親王の御息所みやすどころに上った人があったが、敦忠がまだ左近少将であった時分に、お二人の間の後朝きぬ/″\の使を勤めさせられたものであった。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
それで取まわしがいゝ、誠にかゆいところへ手の届くようにせられましたから、何うもひねりぱなしで二度うらを返さずにおくことが出来なくなる。後朝きぬ/″\のわかれにもなんとなく帰しともない様子があって
又遊女高尾が某君なにがしのきみに送りし後朝きぬ/″\ふみに曰く
松の操美人の生埋:01 序 (新字新仮名) / 宇田川文海(著)
ほめぬ千鳥啼く夜の加茂の里びと 又明けては 後朝きぬ/″\や雪の傘する舞衣うしろ手見よと橋越えてきぬ 冬川は千鳥ぞ来啼く三本木紅友禅の夜著干す縁に 舞衣五人紅いつたりあけの草履して河原に出でぬ千鳥の中に 嵐山名所の橋の初雪に七人渡る舞衣かな など色々あるが皆とりどりに面白い。
晶子鑑賞 (新字旧仮名) / 平野万里(著)
きみるや、夜寒よさむふすまうすければ、うらみふか後朝きぬ/″\も、そでつゝまばしのぶべし。
五月より (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
後朝きぬ/″\のおわかれに