弘法大師こうぼうだいし)” の例文
また弘法大師こうぼうだいしの言の引用をお教えくださった寿岳文章じゅがくぶんしょう氏を始め、種々の示教と激励の言葉を賜わったかたがたに深い感謝をささげる。
茶の本:03 改版に際して (新字新仮名) / 村岡博(著)
彼らは、先輩のごとく学問して天下に名高い人となれ、と教訓したのである。で、自分は弘法大師こうぼうだいしのように偉くなろうなどと考えていた。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
それには弘法大師こうぼうだいし千五十年供養塔くようとうきざんであった。その下に熊笹くまざさの生い茂った吹井戸を控えて、一軒の茶見世が橋のたもとをさも田舎路いなかみちらしく見せていた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
藤沢寺とうたくじ遊行上人ゆぎょうしょうにん祐天和尚ゆうてんおしょうでも弘法大師こうぼうだいしでも有難い坊さんを大勢頼んで来て、大法事か何かして、花魁が成仏得脱とくだつさえすれば、貴方の御病気は癒るんですぜ
実際土佐とさでは弘法大師こうぼうだいしと兼山との二人がそれぞれあらゆる奇蹟きせきと機知との専売人になっているのである。
藤棚の陰から (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
待て待て、さきはま鍛冶屋かじやばんばじゃの、海鬼ふなゆうれいじゃの、七人御崎みさきじゃの、それから皆がよく云う、弘法大師こうぼうだいし石芋いしいもじゃの云う物は、皆仮作つくりごとじゃが、真箇ほんとの神様は在るぞ
海神に祈る (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
これをもって、仏教にては生死輪廻りんねの無窮なることをわれわれに示して、弘法大師こうぼうだいしは、「生まれ生まれ生まれて生の始めを知らず、死に死に死んで死の終わりを知らず」
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
ええ、そもそも羽田の浦を、扇ヶ浜おうぎがはまと申しまするで、それで、それ、此地を要島、これは見立で御座いますな。相州そうしゅうしま弁財天べんざいてんと同体にして、弘法大師こうぼうだいしの作とあります。
悪因縁の怨 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
能登のとの長尾村には、昔弘法大師こうぼうだいしから授かったという煙草の種があって名産になっていた。薩摩さつま冠岳かんむりだけには蘇我煙草そがタバコと称して、蘇我馬子そがのうまこと関係づけられていた天然の煙草というものもあった。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
其処そこには、弘法大師こうぼうだいし円光大師えんこうだいし日蓮祖師にちれんそし鬼子母神きしぼじんとの四つのお堂があり、憲兵屋敷は牢屋敷裏門をそのまま用いていた。小伝馬町三丁目、通油町と通旅籠町の間をつらぬいてたてに大門おおもん通がある。
旧聞日本橋:02 町の構成 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
弘法大師こうぼうだいし御夢想ごむそうぐすり鼻神湯びしんとう。一ぷうしゅ、貧者施薬せやく当山とうざん別当べっとう
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
老子いわく「天地不仁(三三)。」弘法大師こうぼうだいしいわく「生まれ生まれ生まれ生まれて生の始めに暗く、死に死に死に死んで死の終わりにくら(三四)。」われわれはいずれに向かっても「破壊」に面するのである。
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心岡倉覚三(著)