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建續
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たてつゞ
建續く
家は、なぞへに
向うへ
遠山の
尾を
曳いて、
其方此方の、
庭、
背戸、
空地は、
飛々の
谷とも
思はれるのに、
涼しさは
氣勢もなし。
汲せんとなし其
節に此
眞向ひの
棟割長家建續けたる其中にも一
層汚く
荒果し
最小狹なる家の中に五十四五なる老人
一個障子一枚
押開き
端近ふ出物の本を
繰廣げ見てゐたりしが今長三郎が手を
早いもので、
先に
彼處に
家の
建續いて
居た
事は
私たちでも
最う
忘れて
居る、
中六番町の
通り
市ヶ
谷見附まで
眞直に
貫いた
廣い
坂は、
昔ながらの
帶坂と、
三年坂の
間にあつて