トップ
>
差措
>
さしお
ふりがな文庫
“
差措
(
さしお
)” の例文
本家を
差措
(
さしお
)
き、小生等夫婦の計らいを以て話を進めてしまったことについて、或は気持を悪くしておられるのではないかと思う。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
物価が高くなつて箪笥の値段は三割方張るかも知れないが、道徳的だと思へば我慢の出来ない事もない、先づ何を
差措
(
さしお
)
いても結婚する事だ。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
見ると、それは
懐
(
なつか
)
しい山県行三郎君で、自分が来たといふ事を今少し前に知らせて遣つたものだから、万事を
差措
(
さしお
)
いて急いで遣つて来たのであつた。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
ところが、下手人の疑ひはあらぬ三人に
懸
(
かゝ
)
つて、世上の噂は大きくなるばかり。土佐守樣御名前も引合に出さうになつて見ると、其儘には
差措
(
さしお
)
き難い。
銭形平次捕物控:066 玉の輿の呪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
向島
(
むこうじま
)
のうら
枯
(
がれ
)
さえ見に
行
(
ゆ
)
く人もないのに、秋の末の十二社、それはよし、もの
好
(
ずき
)
として
差措
(
さしお
)
いても、小山にはまだ令室のないこと、並びに今も来る途中
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
彼と御縫さんとの結婚は、
他
(
ほか
)
に面倒のあるなしを
差措
(
さしお
)
いて、到底物にならないものとして放棄されてしまった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そこで流した兄の血潮はまだ乾いてはいないのに、その恨みは決して消えてはいないのに、それを
差措
(
さしお
)
いて、自分は今、意趣も恨みもない人を斬ろうとして行くのだ。
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
藩中一般の説は
姑
(
しばら
)
く
差措
(
さしお
)
き、近い親類の者までも西洋は
大嫌
(
だいきらい
)
で、何事も話し出すことが出来ない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
余は「みゝずのたはこと」の校正を
差措
(
さしお
)
いて、鶴子を連れて其席に
連
(
つら
)
なり、日暮れて帰ると、
提灯
(
ちょうちん
)
ともして迎えに来た女中は、デカが
先刻
(
せんこく
)
甲州街道で自動車に
轢
(
ひ
)
かれたことを告げた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
仕方がないから、例の某大家に
縋
(
すが
)
って書生に置いて貰おうとすると、先生は相変らずグズリグズリと煮切らなかったが、奥さんが
飽迄
(
あくまで
)
不承知で、先生を
差措
(
さしお
)
いて、御自分の口から
断然
(
きっぱり
)
断られた。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
と、
内々
(
ない/\
)
は広い京都中でこの羽織の似合ふのは、
富豪
(
ものもち
)
の自分を
差措
(
さしお
)
いては
外
(
ほか
)
に誰も居るまいとでも思つてゐるらしかつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
石原
(
いしはら
)
の
利助
(
りすけ
)
が大怪我をしたという
噂
(
うわさ
)
を聞いた銭形の平次、何を
差措
(
さしお
)
いても、その日のうちに見舞に行きました。
銭形平次捕物控:019 永楽銭の謎
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その本体はかえって
差措
(
さしお
)
き、砂地に
這
(
は
)
った、
朦朧
(
もうろう
)
とした影に向って、
窘
(
たしな
)
めるように言った。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
皆が店を
覗
(
のぞ
)
いて、与右衛門さんのお
株
(
かぶ
)
梅ヶ谷の
独相撲
(
ひとりずもう
)
がはじまりだ、と笑う。与右衛門さんは何処までも自己中心である。人が与右衛門さんの地所を世話すれば、世話人は
差措
(
さしお
)
いて必
直談
(
じきだん
)
に来る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
と、母が寝反りを打って
此方
(
こちら
)
を向いた。私は此返答は
差措
(
さしお
)
いて
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
ところが、下手人の疑いはあらぬ三人に懸って、世上の
噂
(
うわさ
)
は大きくなるばかり。土佐守様御名前も引合に出そうになってみると、そのままには
差措
(
さしお
)
き難い。
銭形平次捕物控:066 玉の輿の呪い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
差
常用漢字
小4
部首:⼯
10画
措
常用漢字
中学
部首:⼿
11画
“差”で始まる語句
差支
差
差覗
差向
差出
差俯向
差別
差当
差配
差置